3. ご挨拶にはまだ早い? ~前編~
いつもこんな時間でスミマセン!(´Д`;)ヾ
あと投稿ペースも守りたい・・・・・゜(゜´Д`゜)゜
「ね、おねぇちゃん」
「んー?どうしたの?」
もう最近は夕方にもなる時間だと肌寒いと感じる日がふえたような気がする。
いまもこうして歩いているうちに少しずつだけど日が傾いているー、かも?
何日もしないで季節がこれだけ変わっていくんだからわたしたちの一生だって今日の楽しかった時間と同じであっという間に過ぎていくんだろう。
でも、楽しい時間は早いって言うから短い人生だったって思えるってことはそれだけいい時間を過ごせたってことなのかな。
いやそれは話が大きすぎるか。てかわたしまだまだ死なんし。
そんなセンチなことを考えてしまったのもこのきれいな夕日のせいだろう。
「今日はありがと!なかなか来れないでいたけど来れて楽しかったよ!!」
「うん、わたしも楽しかったよ。久しぶりにたくさんお喋りできたし」
「うん!あ、でも次に遊ぶときはわたしたちの家にきてほしいかな?ふふっ」
手を後ろに組んでイタズラっぽくはにかむライラちゃん。
うぅ、だって長いこと行ってないし、今になって急におじゃましようっていうのも・・・・・・・。
いや。
言ってしまえばわたしが気まずいから、ほんとに極端な言い方すればそんな程度の理由なんだけどさ。
だから改めて考えてみると凄く申し訳なってくる・・・・・。
だ、だってホントに2、3年くらいおじゃましてないんだよ!?
そんなブランクを気にせず遊びになんてムリだってぇ~!
「き、今日のところはあいさつだけで失礼するよ、ね?」
「もぉ~、絶対いつかはきてよね?」
「あはは」
いつかはね?そんなかんじの苦笑いを浮かべて歩いていく。
以外と遠いのだ、バークリー家。
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わたしたちの住んでる街、アルセームは王都で国名と同じ名前のヘルヴィオールを囲むような形状になっている。
だから同じアルセームでも場所によっては王都に行くより遠かったりする。
ヘルヴィオール『公国』、なのに王都や王城があるとはこれいかに?
という疑問が外国からの観光客からは多いらしい。
それというのもこの国の事情がけっこう特殊だから。
そもそも200年くらい前までは普通に王様がいて、国名もただのヘルヴィオール国だったらしい。
ところが王家のヘルヴィオールは公共事業などをムリして進めたせいで財政が逼迫。ぶっちゃけ当時のいくつかの大きな貴族の方がヘルヴィオールよりも力を持ち始めててこのままではいつのしあがろうとする大貴族のクーデターが起こるかわからない。
そこで当時のヘルヴィオール王は思いついた。
『もう王様やめちゃってよくない?』
ということであっさり退位。それ以後は有力な貴族たちが選挙によって代わる代わる君主を務めることで今の公国、というかたちになったそう。
そして打算半分で動いたヘルヴィオール王に謎の恩義を感じた初代君主が王都と王城を残し、今ではその代の君主が住みつつ役所の役割も担っている。
まぁ普通に壊すのも勿体ないしね。
で、そのときの財政悪化の原因になった公共事業のなかに区画整備も当然含まれており、元は王都を守るためのアルセームの街は特に敵軍や郊外から来るモンスターたちの進行を防ぐ意味もあり、力をいれて整備された。王様マトモに政治してたんだよ。
かなり長い前置きの後でなんだけど要はこの街、かなり曲がり角が多い。
で、それにどんな意味があるのかと言うと、例えば道の端を歩いていて角を曲がってしまうと曲がりたい先から直進してきた人と――
「おねぇちゃん前!前!!」
ドンッ。
「キャァッ!?」
「ぉわあっ!?」
けっこう人とぶつかりやすいんだ。
「いっつつ、・・・だいじょうぶですか?すみません前を見ていなかったもので・・・・・あ」
差し出された手、大きめのしっかりした手は男の人のものかな?
わたしの不注意のせいなのに、なんて親切な・・・ん?
「い、いえわたしこそ・・・ってアルム!?な、なんで・・・・」
「おにぃーちゃーん!」
兄と会えた歓喜のダイビングハグで突っ込むライラちゃんと受け止めるアルム。
「おっとと、いやアイリたちこそなんでここに・・・」
「あのねっおねぇちゃんの家に遊びに行ってきたの!」
「あぁ、それで送ってもらってるのか。ありがとうアイリ(ニカッ☆っと白い歯を見せつつ)でも声かけてくれたら俺が迎えに行ってもよかったのに。この時間にはちょうど仕事が終わるし今はその帰りだったんだ」
あ、ありがとうって・・・っ。
そんないい笑顔でお礼なんか言われてしまうと心臓が早鐘をうち始めてしまう。
ああもう!昔はもっとこう・・・フラットに話せてたのに!
「い、いやこれくらいなんでもないって・・・・・。わたしだってライラちゃんと話しながらだから楽しいし」
ニマーっと嬉しそうに口をつり上げるライラちゃん。
まぁほんとのことだしね。
「そかそか。それで、今日は家まで上がっていくのか?」
「んー、わたしもそうしてほしいのに挨拶だけって言って帰っちゃうみたいなの」
アルムから離されてわたしの隣に戻ってきたライラちゃんが不満げな口を尖らせてうぅー、なんてまだ納得してないような顔をしている。
いやだからそれは追々って言って・・・・・。
「えーいいじゃんさ、久しぶりに夜飯食べてけよ。帰りは送っていくから」
は?え・・・・・えぇっ!なっなななっなななぁっっ!?
だ、ダイレクトでお誘いですかっ!?
「ぅえっ!?えっいやそれはこう、い、いきなりだし、迷惑になると思うから・・・・・」
「親父もお袋もアイリの顔見たがってるしさ、たまには家に来いって」
「!そうだよアイリおねぇちゃん!!おにぃちゃんもこう言ってるしおねぇちゃんならいつでも歓迎なんだからっ!」
天啓を受けたとばかりに畳み掛けてくるライラちゃん。
いや、うっ・・・・・でも、これはさすがに・・・。
「じゃ、じゃあちょっとだけお、おじゃましてもいい・・・かな?」
兄弟揃ってのガッツポーズ。
「「もちろん(だよ)!」」
っ!
「あれ?どうしたのおねぇちゃーん?」
「おーい振り返ってどうしたー?」
そりゃ断れませんて。
直接誘われちゃったんだもん。まだ混乱しててまだ追いつかない部分もあるけど今は多分、
なにより嬉しくて顔がゆっるゆるなのである。
再び歩き始めた道は、もうバークリー家の目の前だった。
コメント&ご指摘待っていますっっ!!!




