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9. ヨーロピアンナイト(仮)

更新遅れてスミマセン!!!

ここ1ヶ月も出来ませんでした( ; ゜Д゜)

 あれからしばらく世間話を交換したあと、俺が夕飯の時間だとお先に失礼させてもらい今は自室で風呂上がり、といってもどうやらこの世界はお湯に浸かるということじゃなくて沐浴?って感じだ。後は体拭くだけだったりね。やっぱりそこは前世で言う欧風文化の色が濃く、まだ日本人の気が抜けてないのかたまに熱いお湯でサッパリしたいって思うときもあるんだよなぁ。ちなみに今日アイリから買ったレタスもどきとトマトもどきはお袋の手によって鮮やかなサラダになりましたとさ。ご馳走さま。



 ごろっとベッドに倒れ込み、寝苦しいほどではなくなった夜から解放され始めた今日この頃、だからといって特に寒さを感じるわけでもなく間取り的にベッドからでも手を伸ばせば開けることが出来る窓に手をかけ、夏の残り香に秋を少し含んだ風が流れてくる。

 すでに消してある部屋の照明無しにも差し込んでくる星明かりは手元を明るく浮かび上がらせ、それでも寝付けないなんてことはないやわらかな光だ。


「おっサソリ座みっけ」


 なんとなく見上げた星空に前世のサソリ座・・・のようなものを見つけ、だれもいない部屋でひとりつぶやいてみる。サソリ座、といってももちろん実際のソレがみえるなんてことはなく、この季節に見えたこの世界の星をそれっぽい形に無理矢理繋いだものを俺が勝手にそう呼んでるだけ。それでもちゃんと見つけられたことに小さく安心する自分がいた。


 忘れたくないんだ、前世のことだって。

 多分この世界にあの地球をわかっているやつは俺だけだろう、もし同じように転生した人がいるなら別だけど多分それはないように思う。

 だったらせめて俺くらいはあんな世界もあったんだって胸に留めておきたい。


「もしかしたらこの星のなかに地球、あったりしてな」


 いや、それはないか。あったとしても地球、恒星じゃないし。

 と―――


「おにぃーちゃん入るよ~?って、また真っ暗にしてるぅ」


 そう言って開かれたドアの前にはマイシスター、ライラさん。

 この部屋もいい加減狭くなってきたよなぁと、さすがに13才にもなって兄貴と二人部屋なんてプライバシーもあったもんじゃないしそろそろ部屋を割り当ててもらおうか?なんて13才のライラの誕生日に持ちかけてみたところ『えー!?わたしこのままでいいもんっ!!』と、よくわからない抵抗をされてしまった。

 前世の思春期理論はこの子には当てはまらないようで兄としては嬉しいなんて思わなくもないけどこれでいいのかなぁ?って疑問符も同時に浮かぶ。いやーでももう少しすれば自分から言い出すか?まぁ、少なく見ても高校卒業までには個室になってると思うな、うん。多分。

 ところでライラだが今はお風呂から上がったようでその流れるようなブロンドは一層潤いを増したようで金糸と見紛うほどの色艶を放っており、いったいどんな手入れをしているのだろうと女の子のそーゆー努力は底が知れないと思う。


「んー、暗い方が星は見やすいからね。あ、なんか本でも読むつもりなら明かりつけるぞ?」


「うんにゃ、今日はいいや。もう眠いもん」


 おやすみーっ!と、部屋の両端にあるベッドの片方に潜り込む。

 時計を見ると短針は11時前。

 初等学校のころから比べると課題も多くなったり趣味も増えたりで就寝時間が退行した妹も今日はもうおねむらしい。

 まぁ、初等学校って言っても年齢に当てはめれば10才から12才の3年間でその辺の生活リズムは個人によるんだろうね。

 ちなみに初等学校の前には幼生学校があり、それが小学校低学年にあたる子どもたちの学校。呼称が違うだけでたいした違いはない。

 さて、俺も天体観測をお開きにしよっかな?なんて考えていると―――


「うぅーん、んー・・・・・あーーっ眠れないっっ!!」


「うぉっ!?夜なんだからあんまり大きな声出すなって・・・・・・」


 眠いと言ってもぐり込んだベッドはだいぶな湿気と人肌のような熱量を持ち合わせ、さすがのライラは寝付けずにいたみたいだ。あーあ、だから俺は星見ついでに夜風に体を晒してるってのに、蚊に刺されるリスクすら犯して。

 さっきまでの眠たげな態度からの落差ではは、と湿度とは反比例に乾いた笑いをこぼす。


「んじゃあこっちきていっしょに星でも見よーや?」


「あー、んー。そうしよっかな」


 トテ、トテトテトテ、ぽすん。


「んぅっ?」


 なぜか俺の膝上にライドオンである。

 もともとベッドに腰かけて窓に片手を掛けた体制だったところに乗ってきたマイシスター。

 重いなんて言わないし、そもそも考えにもないが姿勢的にはかなりつらーいものがあるよ?


「ちょちょちょ、一回降りて?」


「むぅ・・・・・・・はぁーい」


 ここがいいのにーとでも言いたげな表情で睨まれたけどさすがに隣までスライド移動していただく。

 こんな男の膝に座ったって居心地よくないだろうに。


「はー、ほら見てみ?柄杓」


「え?なにそれ?」


「あそことあそことあそこらへんを繋げるとなんかちっちゃいフライパンみたいな形してない?」


「いやいやひしゃく?も星もわかんないよーっ!」


 まぁそりゃそうか。

 でも、わかってて話を振ったのはライラのこんなふうにころころ表情が変わっておもしろい反応を見たかったからかもしれない。


 感にして大体30分くらいたったかなーと壁掛時計を見やる。

 短針には目立つほどの動きはないが長針は20数分分動いたのが分かり、体も時間に気づいたらしく大きなあくびが出た。



「ははっ、そうかもな・・・・・・ってふわぁーあ。やべ、俺眠いかも」


「え、寝ちゃうの?せっかく起きてきたのに」


 ライラと比べて大分前から風に当たっていた俺は昼間の火照りも完全に抜け、今となってはむしろ肌寒くすらあるほど。これはブランケットもそろそろ必要かなぁ。

 ってことでマイシスターには悪いんだけど・・・・・・おやすみぃ。


「あ、まってまって」


「えぇ?あーぁ・・・・・・・」


 スマン妹よ、兄は先に墜ちるぞ・・・・・・。


「言い忘れるところだった。ママから伝言なんだけど―――」


「あ、ハイなんでしょう」


 むくり


 ノータイムで眠れそうな気分だったがこれは聞かなきゃいけない。お袋からのお達しを聴き逃したとあらば血が流れようと言うものだ、もちろん俺の。

 この家においてお袋とは生態系の頂点に立つ御方なのだ・・・・。


「明日、だからさ。役所に行ってしっかり手続き践んでこい、だってさ」


「あぁー、そういやそうか。忘れてた」


 この国では18才から税金の徴収が始まる。成人は15才からなので妥当なスパンだと思う。しかし個人として納める税は所得税くらいなもんで住民税なんかはないんだったっけ。ホントよくやっていけるな、国。

 ちなみにアイリはもう払っている。

 まぁ、つまり明日は―――


「誕生日オメデトウ!おにぃちゃんっ!!」



 俺の17回目の誕生日ってだけだ。



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