映画『異端者の家(Heretic)』(2024)は面白かったのか?
皆さま、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
N市の野良猫、ペイザンヌです。
さて『異端者の家』を劇場にて観てきました。
図らずもその前日『教皇選挙(2024)』を観まして、そして今日がコレ。
“宗教ウィークエンド”となってしまいました。
ん〜コレどうなんだろ?
結論から言えばボクは結構好きです。
が──
ただ「目の前のストーリー」だけを追った見方だと「飛躍しすぎじゃね?」「なんか思ってたんと違う」となる人もいるかも。
やや観念的・哲学的・理論的な人であるほど楽しめる気がするね。
通常のホラーと違い「精神世界の文献」を“映像付きで読んでる”イメージが常にありましたな
「宗教とはつまるところ〇〇だ」と言い放つヒュー・グラントの思想はヘタすれば『教皇選挙』より本質をエグってる気がしないでもないのよね。
なので道教の「胡蝶の夢」やこの世はヴァーチャルではないか?──そんな“シミュレーション理論”などに興味がある人は楽しめるかも。
あなたが“今その仕事”をして“その人と一緒に”なってる…それはあなたの意思と関係なく何者かによって“そこに到達させられたのかも”そんなことも思わされ、面白い。
また「自分らしさ」ってのも結局は「自分教」という宗教で、ルール、タブーなど知らず知らずに作り…だから「違う宗派(考え)」の人とは合わない、衝突する──そんな“宗派同士の縮図”なのかもねぇ……なんて。
これは『エドガルド・モルターラ/ある少年の数奇な運命(2023)』という映画を観た時にも強く感じたんすよね。
特筆すべきは、だんだんと地下に追いやられていくビジュがボクは好きでしたね。
まさにイド(無意識の領域)の奥底に追いやられてるようでもあり……
あるいは美化された宗教というものの皮を一枚一枚剥いでいくようでもあり……
さらにその奥には純粋な信仰の源泉である「祈り」も存在してたりと。
ボクは『ゲド戦記』の原作が好きなのですが、その第2巻『こわれた腕輪』──ジブリのアニメ『ゲド戦記(2006)』(あのアニメは第3巻が元になっております)──にも出てたテナーの少女時代のお話です。
そのラスト、テナーが地下の迷宮を彷徨う場面もそんな意識下の世界が表現されており、ついそれを思い出してしまったな〜と。
あとヒュー・グラントが語る宗教における「ジャージャー・ビンクス論」も面白かったすねw
いや〜『ダンジョン&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023)』『ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023)』のウンパルンパ…最近のヒュー・グラントの演技は、吹っ切れててホント好き〜
何を置いても、この2つだけで観る価値は十分にあるかもですよ。
良くも悪くもA24。単なるホラー、単なるスリラー、単なるエンタメ……だけで終わってないのはとても好感が持てました。
では、また次回に!