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映画『ロボット・ドリームズ(Robot Dreams)』(2023)は面白かったのか?

 皆さま、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?

 N市の野良猫、ペイザンヌです。


『あなたはきっと魔法にかかる』──

そんなキャッチコピーの映画があると「ま〜たそんなオーバーな」と思うこともあるけどコレはちょっとホントに魔法、いやマジックを見せられたのに似てたんですよね。

 ある地点でトートツに爆発的に感情が高ぶり、

 (´;ω;`)ブワ

 いや、そこまではまあ他の映画でもよくあることなので、わかるんすけど、


「え、ちょっ…? なんでボクこんなに泣かされてんの???」と少しわかんなかったんですよね。それくらい感情が込み上げ方が急激で呆気に取られたというのか……


 ラストの展開は途中でおおかた見当付いてたというのに……。鑑賞後そのことばかり考えてましたね「どんな手法を使われたん? このマジックのタネは何なの?」て。


 以下少しネタバレなんでもし嫌な方がいたらここでSTOPを。


 まず驚いたのが犬のドッグ(まんまやね)とロボットのロボット(さらにまんまやな)の「一緒にいるシーン」の短さよ!


 予告で見たシーンはわりかしすぐ終わっちゃって、以外に早く離れ離れになる二人、もとい一匹と一台。

 残りの時間はドッグとロボット、オノオノの状況を交互に見せられるんですよね。


 ボクらも同じで、考えてみりゃ人間て一緒にいた時間よりも、記憶や思い出、相手を想ってる時間の方が遥かに長いのかもな──なんて。


 この辺からもう地雷を踏み始めてるんよね、ラストの爆発に向けて……


 しばしTVでトムとジェリー)ルーニー・テューンズでも見るようにアニメならではといった楽しい時間が続くけど


 ドッグは来年の海開きを待ち、日常に戻るけどロボットを思い出す場面でエピソードが終わり、


 ロボットはタイトル通りビーチで動けぬまま「夢」に入るが現実に引き戻されエピソードが終わり、


 月日が立つごとにドッグは次第にロボットのことを忘れ、新しい出会いが……ああ、この辺でもう辛い。


「哀しいことばかりに目を向けてるわけにはいかないから前へ進もう」

 それは良いことです。


 でも、どれほど忘れまいと思ってても「1年後の自分の気持ち」ましてや「相手の気持ち」なんてどう変わっていくのかわからんわけで。

 ここは誰もが必ず経験すること──自分の記憶と重なり胸がガキガキに痛んだ人も多いはず。


 ゲーテの『若きヴェルテルの悩み』には「これを読み、共感できない人は不幸だといっていい」という帯が付いてたけど、まさにこの映画もそうなのかもねぇ


 動けないロボットの上で孵る鳥のヒナ。

 そして「お行き」と目配せするロボット──

 ホラまたこの辺も後の爆発のための時限装置が仕掛けられてんよなぁ……


「さよならだけが人生だ」──じゃないけど恋人、友人、恩師、親子……

 ドッグとロボットを「x」と「y」とすれば、これまでしてきた「別れ」全てがどっちかに当てはまっちゃうんすよね。


 自分がドッグの立場の時もあれば、ロボの時もあり、してきた別れの数が多いほどラストに用意されてる爆発力も大きいと思われ。


 最後に少し重きテーマ。

 ビーチで動けないロボットのあの「過酷な状況下で夢を見続けるという行為」ですが、

 ハテ、どこかで……と思いましたが


 V.E.フランクルの『夜と霧』──

 アウシュヴィッツ収容所などでの体験が書かれた名著ですが「過酷な状況下で、妻の安否を考えたり頭の中で会話をしたりする──そこにはもはや彼女の生死ですら関係なくその記憶、存在こそが生きる糧となる。それがないものから死んでいった──と、ボクが最も感涙した箇所にもよく似てます。


 こういったものも「爆弾の一つ」として擦り込まれてたのかもですね。


 では、また次回に!


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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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