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映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024)は面白かったのか?

 皆さま、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?

 N市の野良猫.ペイザンヌです。


 本作は今年2025年のアカデミー作品賞にもノミネートされてますが、もしもこの『名もなき者』が見事勝ち獲ったら、ボクは自分の年ベスには入れません!

 獲れなかった時はコレを年ベス1位にします!

──というのはまあ半分は冗談ですが、

「皆がこぞって群がればソレはもう大衆の物になり、ぼんやりした物が残るだけ……」

というのが本当に核になってる気がしたのは確かです。


 例えば最近の金ローなどは大勢が好むものばかりを何回も放映しますよね

発信する側は「無難なモノ」を、

観る側は「もっと尖ったモノ、新しいモノ」を探すことをヤメたように。


 もちろんそれも悪いことではないのですが、そういったことに渇望し続ける人もいて、それがディランのような人なんだと…


ノーベル賞を獲った時も、その時点で彼には「もう終わったこと」なんでしょうね、ディランは授賞式には現れませんでしたからね。


 劇中でもあったようにディランは現在でも「皆が知ってる歌」をライブでやりたがりません、やるとしても全く別の曲のように常にアレンジがされてるのも有名な話ですやね。


 単に反骨精神とか、ひねてるとか、おざなりが嫌いとか、そうじゃないんスよね。


 フォークかエレキか葛藤するディラン、自分を世に出してくれたエドワード・ノートン演じるピートにもおそらく感謝してるけど内面から溢れ出てくるモノの方が強かっただけ……


 その辺りの決別と孤独はラストの病院のシーンでそれが表されてる気がします。


 そこで思い出すのが前半のこの台詞、

「皆ボクに『なぜそんな曲が書けるんだ?』と聞く。でもボクには『なぜ俺には書けないんだ』と言ってるように聞こえるんだよ」と。


 皆が知ってるアレを皆で一緒に歌おうぜ──と、その場で満足し留まっちゃう。

 だから君たちには書けないのでは?

 そう言われてるように思えましたね。


 そんなボブ・ディラン本人も絶賛した──ともありますが、考えてみると巷のように「ティモシーがカッコよかったから」「歌がうまかったから」のみで彼が手放しでこの作品を絶賛するとは思えないんですよね。つまりはそういうことなんです。


 とはいえティモシー・シャラメの魂のこもった歌唱、そして睨みつけるようなギラギラした眼差しも当然素晴らしかった。ティモシーのアイドル映画、容姿だけの作品になってたらどうしよう?──とも少し不安でしたが、いやいやさすが、そんな心配は全くなかったですね。


 とにかく琴線に触れ……いや”ギター弦“に触れたとでも言いますか……!


 社会はコレでええの? 教育はコレでええの?──様々なテーマを訴える映画がありますが、なんてんですかね……こっち側? 「自分自身だけ」にモロ直接、ストレートにぶつけられた気になる作品でした。個人的に大傑作です。


 主演はもちろんティモシー・シャラメですが、脇を固めるは『トップガン/マーヴェリック(2022)』のナターシャ役、モニカ・バルバロ。ブレイク前のボブ・ディランを紹介するジョーン・バエズというシンガー役ですね。


 若きディラン恋人、シルヴィ(実在のスーズ・ロトロがモデル)役にはエル・ファニング。『マレフィセント(2012)』のオーロラ姫や『レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019)』ではティモシーと既に共演しております。


 同年代のシンガー、ジョニー・キャッシュ役に『ザ・プレデター(2018)』や『インディ・ジョーンズ/運命のダイヤル(2023)』でマッツ・ミケルセンの右腕クレーバーを演じたボイド・ホルブルック。


そしてブレイク前にボブ・ディランを発掘するピート・シンガー役にエドワード・ノートン。もともとはベネディクト・カンバーバッチの予定だったのが変更になったみたいですね。


監督は『インディジョーンズ/運命のダイヤル』『フォードvsフェラーリ(2019)』などのジェームズ・マンゴールドですが、前述したシンガー、ジョニー・キャッシュの伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君へ続く道(2005)』の監督でもあります。こちらの作品でジョニー・キャッシュを演ずるはホアキン・フェニックスですね。


 ボブ・ディランのアルバムは多くとも7枚目のアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』まで聴いておけば十分です。


 では、また次回に!



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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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