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映画『雪子a.k.a.』(2025)は面白かったのか?

 皆さま、よき映画ライフをお過ごしてしょうか?

 N市の野良猫、ペイザンヌです。


「あなたのそれは“自信”でなく“他信”ではありませんか?──」

 かこれは主人公、雪子が先輩の女教師に言われる言葉ですが、一番残り、鑑賞後にもずっとぐるぐると頭を回ってた言葉です。


 優しく教育熱心だけど辺りに気を使い自己主張も弱い…だけど内側から溢れるラップが大好きという対比がとても良きでした。


 結局、ボクらが使う日常会話ってやつもラップバトルみたいなものですよね。

「Yo!」とは言わずも「う〜ん」やら「え〜とね」などと繋ぎながら、何とか自身の内に秘めた想いを相手に伝える、時には異を唱える。

 時にまっすぐ、時には楽しませ、時には捻って、聞いてもらうことを前提で相手が話す間に頭の中で言葉を作り上げる作業なわけで……


 ラッパーの映画といえば真っ先にエミネム主演の『8mile』が浮かびますが、アレを日本でやるのは少し無理がありますからね。

 この映画ではむしろ外国人や黒人では出せないであろう日本人特有の「侘び寂び」を“ヒップホップ”に、いや“ワッビサッビ”と呼んでもいいかも──そこに仕立て上げてるのがよかった。


 冒頭に書いた「他信」というものですが……

 実はこれビジネス界では重要とされており、   いわゆる「人に信頼される力」ですね。


 コレも良し悪しで時には「八方美人」とも捉えられたり「“言ってる内容”うんぬんではなく信頼」という曖昧さもあったり。日本の美徳ではありますが、近年そこを「履き違え」てやしないか?

──というのは疑問ですよね。


 逆に言えば「人からどう見られるか、思われるか」が一番大事ということでもあり、「空気を読む」というのにも少し似てます。


「教師」という立場でそれは必要なのか?という設定もここで効いてきます。

 またマチアプで「ダサい返事だ」と言ってた男と意気投合、あっさり結婚してしまう女友達と自分の違いに驚く姿も効果的でした


 長崎のシーンもさすが草場尚也監督自身が地元なだけあり美しく撮ってくれてました。

 この長崎でのフェス予選、ラップバトルも「俺たちは内側で必死こいてんだ、外から眺めて感傷にひたってんじゃねぇ」なんて感じで。

内から出る「自信」じゃなく、“まだまだええかっこしい”の「他信」だと言われてるようでしたね。


 この「自分を信じようよ」と「人を信じようよ」のバランスかとても良く、また主演の山下リオさんも「おそらくすっごい練習して、きっとやろうと思えばうまくできるのに、練習中のバトルで敗れたり予選敗退してしまうくらいの“ややウマ、ややヘタ”ぽく」演じてらっしゃるのが、またいいんですよ。


 まだまだ上映館数が少ないようですが、素晴らしい作品でしたので、これからもっともっと増えて欲しいですね。上映されてるけど……まだ観てないよ、なんてと方はぜひぜひ。


 では、また次回に!

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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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