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映画『ブルー/きみは大丈夫(IF)』(2024)は面白かったのか?

 さて伊集院光さんの深夜ラジオ『深夜の馬鹿力』で「空脳アワー」というコーナーがあります。

 ボクはこれがめちゃめちゃ好きなのです。「こんな記憶があるのですが、あれはいったいなんだったんでしょう?」──といったリスナーからのハガキのちょっと怖不思議なコーナーで、確かに子供の頃の記憶というのは物凄く曖昧なものであるなと……


 イマジナリー・フレンドというわけでなくとも、そんな──「あのうちによく来てたおじさん誰だったっけ?」と両親に聞いてもそんな人は知らない──などというやりとりをしたこともある人がいるのではないでしょうかね。


 近所にこんな変な人、住んでた気がするけど……あれ? いつ、いなくなったんだっけ? いやホントにいたのか?──などなど。


 そういった「記憶の蓋」が時々ふとした拍子にズズズと開く瞬間もたま〜にあり、その瞬間がボクはとても好きなのであります。


 皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?

 N市の野良猫ペイザンヌです。


 皆様は「イマジナリーフレンド」っていましたか?

「いなかった」という人も本当は「いたかどうか」を、ただ思い出せないだけじゃないでしょうか?


「いたな〜」という方は最近はどうでしょう? 見えてますか?

 見えなくなったから忘れるのか、忘れるから見えなくなるのか……


 この映画、「いやいやどうせ子供とか若い女の子とかが観るような映画なんでしょ?」──と、もし少しでもそう思ってる方がいたら、逆にあえてそういう方々に観てほしい作品なのであります。おそらく観終わった後にですね「そう思っていた自分」を絶対に責めたくなる思いますよ

 ともすれば「ごめん」と思ってしまうかも。なぜならボクが少しそうでしたので。


 また、大人になり、大学や社会に出て、

「自分なんかダメだよ」

「才能ないよ」

「最近楽しくないな」

──など時に思ってしまうことがある人もいるかもですが、それもまた本当にそうなのでしょうか?

 本気で楽しかった感情やワクワクする感情も、イマジナリー・フレンドと同じで、ただ単に忘れてるだけかも……そんな風に重ねて思えてくる作品です。


 原題の『IF』は劇中に登場するイマジナリー・フレンドの略でもありますが「もしもこうだったらいいな」「もしもああだったら楽しいな」とう空想、イマジネーションの「IFもしも」であることも忘れてはならないところですね。


 正直に書くと、まあ「ブルーかわいい」やら「ほっこりした」くらいの感想が書ければ御の字かな〜て思ってたんですよね。

 正直、素直に「腹から面白かった」と書けるとは思ってもみませんでした。

 よくできてます。

 5回泣きました。

 それこそ終盤「もう大丈夫だろう」と涙フキフキ、出る準備を……思っていると最後の最後までブワッ……

 (`;ω;´)

 結局、出口で待ち受けている館員さんに「あ〜あ、こいつブルーなんかで泣いてるよ……」とバレぬよう帽子を目深にかぶってソソクサと退出するのでありました。

 そういう意味では自分でも意外というか伏兵でしたね。


 まあ見ての通りピクサーの『モンスターズ・インク(2001)』ぽい……に加え、+『トイ・ストーリー(1995)』な感じではあるんだけど、それだけならまあボクも「ほほ〜ん」くらいしか思わなかったと思います。


 もちろん一番はこれから映画にどんどん触れていくであろう子供たちの「キッズ対象映画」として念頭に置いて観てますが、もしコレを中高生くらいで観たとしてもずっと残る映画になったかも。


 てかどう考えても「一番泣くのは大人たち」といった作りですやね。


 どうせまた主人公が昔見えていたイマジナリー・フレンド(以下「IF」)なんかに「助けられて前向きになってく感動話」なんだろなと勝手に思い込んでたのが盲点でしたね。


 蓋を開けてみれば逆でした。主人公の方が「主に忘れら去られて行場のない」IFたちを助けてあげるという作品でありました。しかし実は──というような。


 ピクサーついでに言えばこの夏公開の『インサイド・ヘッド2(2024)』──この『2』も観てないくせに(現在は観ました)、『3』辺りでこの『ブルー』の設定は使われるのではないかと勝手に妄想してたりします。


 これまで助けてくれたヨロコビやカナシミを今度は主人公自身が助けてあげる──そんなストーリーで三部作にオチをつけるのでは──なんてね。まあまだ先のそれこそ先の話になるんでしょうけど(まず『2』を観てから妄想しようねw)


 さて、『ブルー/きみは大丈夫』──この邦題は巷でもあまり評判がよろしくない感じですね。

 ボクもやっぱ原題のまんま『IF』が良かったです。ただ、普段、日本語で勝手にサブタイトルを付けるのはボクもあまり好きではないのですが、「大丈夫」というワードはなかなか現代の日本人に少し必要な言葉な気もします……なんなら『いまを生きる(1989)』みたいな感じで『きみは大丈夫』オンリーでも良かったのでは?……と、少し思ったりするくらいでした(ここは異論あると思いますけどねw)


「ブルー」はポスターにある通りデカいモフモフですが、決して彼だけがメインでないのでタイトルに『ブルー』を持ってこなくとも──なんて思いましたね。


 嫌いではないのですが、ボクは『ナイト・ミュージアム(2006)』や昨年公開された『ホーンテッド・マンション(2023)』など、あの辺りのノリに今ひと〜つノれなかった方なんですよ。

 なのでこの『ブルー』も自分にはちょっと合わないんじゃないかな?……と思ってましたが、結果的には自分が弱いタイプの映画でした。もちろん「涙腺的」にです。


 主人公の少女と「IF」たちのメイン・ストーリーよりも、サブのストーリーの方で結構ボロッボロにやられましたね。


 ちなみに途中で「ん? ブルーって実は父親が子供だった頃のイマジナリー・フレンドなんじゃね?」と思ったりしましたが、そういう「さもありがちな予想」を裏切ってくれたところも好きでした。


 そうしちゃうと「あざとく」なってた気がしますからね。そう、こういう映画にはありがちな、お涙頂戴的な「あざとさ」?──それを大っぴらに出して詰め寄ってこないところも監督のセンスを感じました。(まあ、めっちゃ泣いたんですけどねw)


 監督は主人公ビーの父親役も務めてましたジョン・クラシンスキー。こちらも7月に新作が公開されますね『クワイエット・プレイス』シリーズの出演、そして監督もしてるのは書くまでもないでしょう。(書いてるけどw)


 主人公を務めたケイリー・フレミング、彼女は『スター・ウォーズ』のシークエル、新三部作でレイの少女時代を演じてた女の子ですね。


 声の出演も『愛と青春の旅立ち(1982)』や『アイアン・イーグル(1986)』、最近では今年頭に公開された『カラー・パープル(2023)』にも出ておりましたね、ルイス・ゴセットJr.が本作で遺作となりました。合掌。


 そのまま「ルイス」という名のテディベアの役でしたね。劇中でもまさに死をわかってたのでは──というほど、まるで彼自身の「遺言」のような素晴らしい台詞を語っておりました。


 タイトルにもなっている「ブルー」の声を演じたのはスティーブ・カレル、個人的には『フォックスキャッチャー(2014)』でのシリアスな演技が残ってますが、『奇人たちの晩餐会USA(2010)』などではおバカなキャラを演じてるなど幅の広い俳優さんですね。


 他にユニコーンの姿の「IF」ユニ役には監督ジョン・クラシンスキーの奥さんでもありますエミリー・ブラント、花の姿をした「IF」サニー役にマット・デイモン、他にサム・ロックウェル、ジョージ・クルーニー、オークワフィナなど、なかなか豪華です。

 特別ゲストにはB……おっと、超有名スターの「あの方」もクレジットされておりました。


 まあ、今回お目当てはホント、昨年7月公開されました『デッドプール&ウルヴァリン(2024)』の前にライアン・レイノルズを見ておきたかっただけだったんですけどね(こちらも現在はもちろん観ました!)w


「あれ? 普通(?)のライアン・レイノルズってどんな顔で、どんな演技だったっけ?」と。


 ともすればスルーしてたかもな作品でしたが思い切って劇場に足を運んでよかったです。コレは意外な儲け物というか掘り出し物でした。

 

 さて最後に、ラストシーンのプチどんでん返しというか、あの感覚も「あ〜わかるな〜」という覚えがある人も多いのではないかと。


 冒頭にも述べましたが、ボクは「記憶の蓋」という言葉をよく使います。それこそ数年前、地元長﨑に戻ったときにはけっこうこの「蓋」がズズズと開く瞬間が多々ありました。


 全く忘れてたものを目の当たりにした時のあの「あっ!」という感覚……


 よく子供の頃によじ登っていた水道管や、墓地の入口にある不気味な鉄の門、お化け屋敷と言われてた古いアパート、貯金箱にしていた今ではもう売ってない瓶ジュースのボトルなど……そんな他の人から見ればどうでもいいようなモノの近くにやはり「IF」は今もいて、そこからどんどん記憶が連なって蘇ってくる感覚に陥ったりもしました。ただの脳内に浮かぶ映像ではなく、こういう時って「その時の気持ち」が蘇るんですよね。


 映画においても時にありますよね、すっかり頭から全く抜け落ちてた映画など「あ〜!あったあったこんな映画!」とまるで前世の記憶が突然蘇ったようでゾクッとする時もあります。


 そんな感じで、時に懐かしい場所を探索にいくのも良いかもしれません。きっとあなただけの「IF」がそこで帰りを待ってるのではないかと。


「キミは大丈夫」

 皆様にもその言葉が聞こえますよう。


 では、また次回に!



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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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