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映画『アステロイド・シティ(Asteroid City)』(2023)は面白かったのか?

【映画のキャッチコピー】

『1955年、忘れられないあの夏の7日間』


【作品の舞台】

『アステロイド・シティ』とは映画内に登場するコンラッド・アープ(エドワード・ノートン)という劇作家がつくった劇のタイトル。またその舞台となる米国南西部にある架空の町。見渡す限り砂漠の町で紀元前3007年に隕石が落下してできた巨大なクレーターがある。


 劇中劇の時代設定は1955年となっており、隕石落下記念日である「アステロイド・デイ」を祝うべく、ジュニア宇宙科学賞の授賞式が開かれる。そこに天才少年たちとその家族たちが訪れるところから物語は始まる。


【原題】

『Asteroid City』

【上映時間】104分


 それほど長くないのになんとまあ情報量の多い映画か……


 皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?

 N市の野良猫、ペイザンヌでございます。


 さて、この『アステロイド・シティ』。


“自分”が観てるのは映画であるはずなのに、その映画の中にテレビ、そのテレビの中で演劇、さらにはその演劇を作る制作過程の人々と交互に同時進行する……


 ああややこしい。


 そういう意味でウェス・アンダーソン監督お得意の真横移動のドリー撮影、垂直クレーン撮影、そこに加えて文字通り「奥へさらに奥へ」とズンズン入ってゆく“奥行きを意識させられる”映画でしたね。



 逆に奥へ進むほど「自分という殻」さらに「それを包み込む殻」がどんどん外れていく感覚に陥る作品だったともいえます。


 そんな架空の町、アステロイド・シティの舞台演劇を作ろうとする演出家、そしてそれに出演する俳優たちのストーリー。


 ロバート・デ・ニーロなどが学んだ、役に没入するスタイル、所謂「メソッド演技」全盛期時代のこと──その辺りにこの映画との類似点を見出し考察に組み込んで書かれてる方などをよく見かけましたが……まあ、そこまで難しく考えずとも日常の自分──「自分って今、いったいどこでなんの役を演じてるのだろう?」──そんな社会とプライベート、人前で演じる自分と、人に見せない本当の自分といった感覚で見ると身近かもしれませんね。


 ボクがこの映画で最も強く感じたのは一言で表せば「パーソナル・スペース」かもしれません。


「向かい合わせで窓越しに話す」「電話のシーンでの画面分割」「ドア」「ステージと裏側」


 そういった“他者と自分”という意味もあるけど「自分自身で区切ってしまった内面のパーソナル・スペース」という方が大きいかも。


 バットマンとブルース・ウェイン、いや、例えばボク自身に当てはめるなら、ここnoteやXなどのSNSで「ペイザンヌ」となってる自分。そして「ペイザンヌという猫を演じてるのは誰やねん?」と時々、考える自分。


 それにも似ていますw


 演じてる気持ちなどさらさらなく、素で書いてますが、まあそれでも立ち上げる前に「なるだけSNSで“ペイザンヌ”になっている間は泣き言や弱音、愚痴や暴言などは吐かない」という自分なりのルールも決めております。いわばこれは“監督から指定された演出”みたいなものです……んじゃ自分は?──え? あれ? 自分ていったい誰だっけ?

((((;゜Д゜))))


──みたいなw


 うん、当然ペイザンヌを演じてないときは泣き言も弱音だって吐きます。


 そのように、やや混乱するような気持ちになれる映画でしたな。


 美しい映像と独特なカット割りで淡々と、時にユーモアを混ぜながら進んでいく劇中劇『アステロイド・シティ』。

 中盤で突如、それまでの世界観を狂わすようなUFOが突如現れ、宇宙人が降り立ちます。


 この映画における宇宙人とは果たして何だったのでしょう??──これは自分がずっとスピルバーグ監督の“『未知との遭遇(1977)』のUFOとは何だったのか?”と妄想してたものと全く同じかもしれないな、と思いました(出現時の音楽も似てたしねw)。


 それは──想像もできないほどの外部からによる圧倒的な天啓、「気づき」の象徴──なのではないかと。


『アステロイド・シティ』の中の台詞で「時は傷を癒やしなんてしない、癒せても絆創膏程度だ」という台詞がありましたが、それでもやはり癒えちゃうこともあるんですよね。


 ジョン・レノンの『アウト・オブ・ザ・ブルー』という曲にも「まるでUFOのように突然現れ、全ての惨めさを吹き飛ばしてエナジーをくれた」という歌詞があります。


 そんな、ある日突然自分の傷口や虚しさを吹き飛ばしてくれる、治癒してくれるような“きっかけ”を象徴するものなのかも。


 まあこの作品、面白いか面白くないかおそらく個人差がめちゃめちゃある映画ですよね、ダメな人はホントにダメかと思います。


 かくいう自分も観てる間は格別面白いとも思っておらず。


 ただ翌朝、気持ち悪くなるほどに、それはそれはいろんなものが頭の中でグルグル回ってたのも確か。


 決して映画を観てる最中ではなく鑑賞後に、少し時間を置き“考えるきっかけ”──余韻が怒涛のように押し寄せてきた映画という意味では昨年『アフターサン(2022)』を観た時とも似てましたね。


 最後に、ここからは余談というか、逆にペイザンヌがこの映画を借り、一番言いたいことなのですが……


 至ってこういう難解な映画には動画でもブログでも「監督の意図」などをやたら説明したがる解説屋さんが付きますよね。


 ペイザンヌはパンフレットのように書きたくないというのがモットーなので、大抵の感想がこういう感情論のみです。特にウェス・アンダーソンともなればマニアも多いからググれば詳しい説明はそれはそれはいくらでも出てくるでしょう。


 ボクも鑑賞後、自分の感想の整理が付いた後に目を通すことはありますが、あまり鵜呑みにしてません。

 むしろ話半分……いやそれ以下くらいにしか聞いてないというか。


 映画を観終わったあと、すぐ「あれはどういうこと?」と解説動画などに走る人をよく見かけますが果たしてそれでいいのかな?──とも思うほどで。


 まずじっくり1週間ほど「ああでもないこうでもない、ひょっとして……?」と思考するクセをつけるというか、むしろそこが「映画を観る」ことなどより、もっと大切な作業だと思ってる方であります。


 全く見当ハズレの大間違いでもトンチンカンなことでも最初はかまわないというか、自分自身の内面と照らし合わせ、自分にしか書けないオリジナルな思いを書き綴ってみること──これはどんな監督さんでも言う言葉ですが──「自由に考えてほしい」というのがおそらくどんな偉そうな解説書などよりも本当に監督が伝えたいことだと真摯に思っております。


 自分も文章や小説、物語を書いたりするので、クリエイターさんなどに至っては、そこで「自由に考えたこと」こそが創造──自分のアイデアや発想を産み出す最たる源──となることがかなり多いのも確かです。実をいうと個人的にはそれこそが最大の「映画を観る理由」でもあります。


 皆様はどうお考えでしょうか?


 ペイザンヌもあなただけの感想が読みたく思います。


 ではまた次回に!



こちらの映画感想記、

『あの映画は本当に面白かったのか?』──現在は「note」にて、同タイトルでマガジン連載を開始しております。


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【note】

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