映画『ゴジラ−1.0(マイナス・ワン)』(2023)は面白かったのか?
“坊や哲”が好きなのである。
真田広之さん主演で映画化もされた阿佐田哲也こと色川武大先生の小説「麻雀放浪記」の主人公である。
数ある歴史や時代の中、この「戦後」の焼け野原というイメージに、いつの頃からか強く惹かれる自分がいるのであります。
皆様よき映画ラインをお過ごしでしょうか?
N市の野良猫ペイザンヌでございます。
まさにそんな時代背景を舞台に新しく作られたこの新しき『ゴジラ』。実は本作で一番ブワッとキたのは「無から負へ」とうキャッチコピーを予告で見た瞬間でありました。
このキャッチコピーと時代背景とゴジラを掛け合わせた時にムクムクと自分の中でストーリーが勝手に増幅されてく瞬間がとても心地よかったのを覚えております。
実際、鑑賞してみて、そんな貧しいイメージなど遥かに凌駕する展開を見せてくれたことが嬉しかったですね。
これまでにはなかった新しいゴジラ、
かつ基本に戻ったゴジラを見せて頂き、感無量!
昭和ゴジラシリーズの後期、着ぐるみ怪獣同士のバトルで子供たちを楽しませたゴジラもそれはそれでいいけど、ゴジラはやはり戦争、巨悪……いや、「何だかよくわからないが立ち打ちできない意味不明な暴力」のメタファーでなければならんのだ──とつくづく感じましたね。
今回、戦後日本に襲いかかる、まさに「泣き面に蜂」の容赦ない怪物に改めて恐怖できました。
着ぐるみゴジラが少しお子ちゃま向けに方向転換してきたなと感じ始めた時、『ゴジラ対メカゴジラ(1974)』『メカゴジラの逆襲(1975)』でひとまず昭和ゴジラシリーズが一旦終わります。
平成前の1984年、新たに『ゴジラ(1984)』として再び「怖いゴジラ」としてリスタートしてきました。沢口靖子さんが出てたやつですね。時はバブル期、大都会の真ん中で「スーパーX」などというディスカウントショップみたいな名前のUFOみたいな最新兵器と戦わせるという……ちょっとなんだかなぁな作品で終わったガッカリ感がありました。
それ以降「平成ゴジラ」と謳われるものは、ぶっちゃけどれを観たか観てないかわからないくらい、かじる程度しか思い入れはないんですよね。
なので令和ゴジラの第一弾である本作も1984年版のりスタート『ゴジラ』が頭に過ぎりそこまで期待してなかったのも確かといえば確か──だったのですが……
“戦後の焼け野原”にどこか惹かれるのは、あそこには人間の根本的なものが様々渦巻いてる気がするのよね……
自分など、いろんな意味で「普通になりたい」と時に願ったりもするがあと一歩でまたマイナスに落とされる、同じ気持ちの人も多いのでは。
またそんな時、絶望の淵の、そのまた下に心が陥ったとき、どう気持ちを保てばいいのかも、実にうまく描いていたと思います。
主人公たち3人が全くの他人であり、まるで「寄せ集めの家族」となっていくのも好感がもてました。
そう所詮、人間など他人の寄せ集めにすぎないわけで。
作戦会議時に「以前とは違う、私にはもう家族がいるのです」とボヤく人もいたが、“隣人を愛せよ”じゃないけれど、互いの幸福のためどう協力し合うのか──結局これがゴジラを倒せる最終兵器であったというオチもベタではあれど押し付け感なく、スッと染み入ってくる良いラストだったと思います。
「死ぬための戦い」だった元特攻員たちの心が「生きるための戦い」へと変わる。「死という選択」を避けるために闘う──これは見たままでもあり、若者の自殺、はたまた中高年の自殺問題などにも覆いかぶさってきます。「過去の過ち」、そしてこの「現代の問題」を見事にゴジラという得体のしれないモンスターを介してオーバーラップさせてきました。
「特攻」……これまた「自分の命を犠牲にして」とか「自己犠牲」とかそういうあのラストなのでは──正直そう思ってた人は多いのではないでしょうかね。
「生きる選択」と「殺さない選択」に走ったクライマックスは少し「あっ!」となり、清々しい開放感すらあった気がしたのは決してボクだけではないでしょう。
第一作をリアルタイムで観た方の中にも「一作目を超える面白さだった」という意見をしばしば見かけたり、老いも若きにも受け入れられたゴジラとしては傑作の称号が与えられても然りな気がしますね。
ボク自身といえば、それこそ初報で山崎貴さんが次回ゴジラを監督されると聞いた時、どうしても『ALWAYS 三丁目の夕日(2005)』のイメージが大きかったので「大丈夫かな……?」という不安があったのは否定しませんw いや良い映画ですがジャンルがジャンルなので。
(^_^;)
しかし蓋を開けてみれば『シン・ゴジラ(2016)』よりも遥かに面白かったなと、素直に思いましたね。
昨夜1/23にアカデミー賞の視覚効果賞にもノミネートという快挙を果たしたこの『ゴジラ−1.0』。
現在はモノクロである『ゴジラ−1.0/−C』と様相を変えて公開しておりますので、そちらの方にも足を運ぼうかと思っております。
では、また次回に!
【インフォメーション】
こちらの映画感想記、
『あの映画は本当に面白かったのか?』──現在は「note」にて、同タイトルでマガジン連載を開始しております。
noteでは画像も添付できるので、さらに見やすく、また現在こちら「なろう」では載せてない映画の感想・考察なども書いております。
ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ。
更新通知もお届けできますし、ブクマして頂ければたいへん嬉しく存じます。
もちろん単に楽しんでもらいたいがためのマガジンなので無料公開です。私ペイザンヌに金銭関係が生じることは一銭もありませんのであしからず。
日常の話のタネになるもの、またひょっとしたら皆様の創作のヒントにもなるかもしれない情報などもどんどん書いていきたいと思いますので、気軽に、ふらりと、お立ち寄り下さいませ。
【note】
マガジン『あの映画は面白かったのか?』
筆者名:ペイザンヌ
https://note.com/peizannu/n/n24392f562a11
また、X(旧Twitter)におきましては、ありがたいことにこの度フォロワー様も2350人を超えることができました。
こちらXでは劇場公開新作映画、そしてこれから公開予定の映画などについて最も速く述べております。単にしょーもないやりとりや日常のことなどもフォロワー様としておりますので気軽にフォロー頂ければ嬉しく存じます。フォロバ、リプ返は必ずしております。
【X】
アカウント名:ペイザンヌ
@Tatan8Tathu
何卒よろしくお願いいたします。