映画『CLOSE/クロース(2023)』は面白かったのか?
皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
N市の野良猫、ペイザンヌです。
今回は昨年2023年の個人的年間ベストの四位だったこの映画を選んでみました。
さて一概に「映画の良し悪しとは何ぞや?」と考えると、それはスクリーンと自分との距離感の気がします。
そう思うとこの映画『CLOSE/クロース』は昨年観た中で「最も自分に近い映画」だった気がしましたね。
幼なじみであるレオとレミ、二人の少年はいつも行動を共にしてきましたが、その二人の親密過ぎる関係をある日学校ではやされます。そのことがきっかけでレオは周りを気にするようになっていき、次第にレミを避けるようになるのですが──
もちろんそんな主人公の境遇、同性の親友に対する想い、その辺りは全く違います。違うのだけれども……やはり近しいのであります。鑑賞中、主人公の抱いている感情とピタリと重なる自分を何度も感じたんですよね。
というのも「気がした」でなく、実際に少し胸が痛くなったというか。(いえ、普通に健康ですw)
チクリともグサリとも違うズキズキしてくるような……
何に対してってわけではないけど「あれも、これも自分のせいではないのか?」「謝らなければならぬことがあるんじゃないのか?」
──そんないわゆる「原罪的感情」を常にえぐられ続けてた気がしたというか……
この映画で不思議な感覚を覚えたのはそれだけでなく、常に「別の映像が見えていた」こともあります。
同時に二本の映画を観ているような、そんな感覚。
今、目の前のスクリーンで見てるものとは別に、撮影現場で行われていたであろうやり取りのイメージというのか。
俳優といえども主人公は少年。
「これはどういうことなの?」「君はね、今こういう感情なんだ」──と、そんなやりとりが現場で必ずあったはず
もし自分が演出家ならどう説明するだろう?──「そこで頭に浮かぶ言葉」こそ、この映画の核なんだと思いましたやね。
まるで昨年公開された邦画、『怪物(2022)』の後日談のような場面からスタートする本作。『怪物』のラストシーンから──本作『CLOSE/クロース』の冒頭へ──あの少年たちがもう少し成長し、2人で色とりどりのダリア咲く野原を走り抜けているようにも思えましたやね。
記憶が正しければ主人公は劇中三度ほどカメラ目線になった気がします。スクリーンの中からこちらを、自分をじっと見つめてくるのです。
その度ドキリとさせられるというか。
ラストシーンにおいても「ひょっとしたらまたこちらを振り向くのではないか」──そう思ったその瞬間、見透かされたようにこちらを振り返り、また目が合います。
どこかフランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない(1959)』のオマージュのようにも見えたりもしましたね。
主人公を演じる少年が、まあ共性的というか、ボーイッシュ? いやガールッシュ? フト男の子にも女の子のようにも見える時があるのよね。若い頃のシャーリー・マクレーンぽい感じにも見え、フト思い出したりしてましたな。
彼の親友役、こちらといえばバリー・コーガンが子供の頃など、こんな感じだったんちゃうか?──みたいな子でありました
映画は前半と後半にはっきり分かれており「コミュニケーションの中での孤独」そして「失って初めてわかる孤独」といった異種の孤独を描いていた気がします。
そんな中でも時おり主人公は本当に屈託のない笑顔を見せたりもするわけで。
それを見てると「常に笑顔の人でも、ひょっとしたらいろんな過去や、また表情とは裏腹の違う内面があるのかもな」……そんな映画とは離れた、現実世界での人との触れ合いのことも、少し頭によぎってきますやね。
【この映画のキャッチコピー】
『永遠を壊したのは、僕』
【本作の舞台】
監督であるルーカス・ドンの出身地ベルギーにあるウェッテレンと画家ゴッホの生誕の地で有名なオランダのズンデルトで撮影が行われております。監督自身が生まれ育った村にあった花畑がアイディアの基になっているそうです。
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