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映画『逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)』(2022)は面白かったのか?

 皆様、良き映画ライフをお過ごしでしょうか? 

 お久しぶりです。N市の野良猫ペイザンヌでございます。


 さて、今回は『逆転のトライアングル』。


 こちらはデンマークの映画になります。

 


「男と女、デート代はどちらが出すか論争」が以前ありましたが、まさに冒頭はまさにそこから始まりまして、その会話、やりとりなど、なかなか興味深かったですな。



 公開してしばらく経つので「違う意味のグロさ」というか、中盤のオエオエが嫌だった……なんて書いてらっしゃる方も多く見かけますね。



 ストーリー展開としては、

〈序章〉-〈船〉-〈島〉が〈2-4-4〉くらいの比率で描かれガチ・エンタメというよりは、どこか外国文学ぽい匂いがしたかな、と。少なくとも無人島でドロドロの展開だけではありませんてした。


 資本家やインフルエンサーなども「凄い嫌なヤツ」というより「金持っててチョイめんどくさい」連中くらいな描かれ方なんで「あ〜なんか近場にいそう……」という妙なリアリティがありましたw


 なので「逆転してザマミロ」というカタルシス開放的な話のみではなかった気もします。


 逆にいえばもっとエンタメでドロドロを期待してた人はやや物足りなかったのでは? なんてことも少し思ったり……どうなんだろ?


 普通、この手の話だと、さっさと沈没して無人島メインの話にしますしね。


 まあその分集約されたラストは衝撃……というか、「あの登場人物」の鬼気迫る顔はなかなか目に焼き付いて今でも離れないくらいです。


 本作に類似した映画といえば『東京島(2010)』や『流されて…(1974)』など思い出す感じですね。


 最近で言えば先日公開されたばかりの韓国のディザスター映画『コンクリート・ユートピア(2022)』を観たときにも共通のテーマ性を少し感じました。あちらは倒壊した高級住宅マンションの金持ち住民が、なぜか崩れなかった一般家庭マンションに押し寄せて立場が逆転する場面などがあったりしましたね。


 この『逆転のトライアングル』を観ながらボクがぼんやり思い浮かべてたのはこうでした。


 例えば身近な会社やバイトなんかでも時々こうしたヒエラルキーの逆転現象が、起こったりするよな……なんてことを。


 セクハラしたとかそんな理由で転落する人もいれば、気づかぬうちにいつの間にか反転していることもあります……「あれ?」てな感じで。


 それまでオラオラしてた人が一気に転落したり、それまではさほど目立たなかった人がリーダーシップを発揮したりw


 

 ラストのオチなどは高橋留美子先生の『めぞん一刻』の中で〈番外編〉として無人島に漂着する回があるけど、あの回をモロに思い出しちゃった人も多いのでは、とw(小学館コミックス第六巻収録)



 インタビューによると、監督は「資本としての容姿」と「通貨としての美」というポイントを押したかったらしいですね。



 ひと昔前の無人島モノだと男が食い物や腕力をエサに女性を手懐けようとする話が多かった気がしますが、今回翻弄されるのがイケメン男子というのも現代ぽくて面白いですな。


 こちらは2022年カンヌ国際映画祭てパルムドールを、そして2023年アカデミー賞の方でも作品賞・監督賞・脚本賞とノミネートされましたが、そちらは今回、惜しくも無冠となってしまいました。


 監督はリューベン・オストルンド。過去には『フレンチアルプスで起きたこと(2014)』など撮っております。



 こちらは妻子を置きざりにして一目散に雪崩から逃げ出してしまった一家の父親が家族からの信頼を取り戻そうとする姿を描いた作品でした。



 その三年後の『ザ・スクエア/思いやりの聖域(2017)』では現代美術館のキュレーターして周囲から尊敬されている男の身に降り掛かる不条理な悲喜劇を描いていたりと「状況による人間の転落や心理」を描くことが得意な監督さんなのかもしれませんやね。


 ちなみに今回、ヤヤというヒロインを演じていたチャールビ・ディーンという女優さんは、2020年8月に32歳の若さで亡くなっており、この作品が遺作となってしまいました。


 映画のラストがラストだっただけに……ねえ、なんとも嫌な気分というのか。


 合掌であります。


 最後に本作のキャッチコピー、舞台、原題の意味するところ──を書いて今回は締めさせて頂きます。


 では皆様、また次回に!



     【この映画のキャッチコピー】


●『狂った時代を、笑い飛ばせ』


●『現代の超絶セレブを乗せた豪華客船が無人島に漂着。そこで頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群のトイレの清掃婦だった』



        【作品の舞台】


 時代は現代、無人島のロケ地はギリシャのエヴィア島。


 エヴィア島はエーゲ海西部に位置する中央ギリシャでクレタ島に次いで二番目に大きな島。豊かな緑、高い山々、岩石の多い風景、さらには秘密の洞窟などもあるチリアドゥ・ビーチで行われております。


 また、豪華クルーズ船は20世紀の大富豪であり海運王アリストテレス・オナシスが世界中のセレブを呼んでクルーズした船が使用されていますね。


          【原題】

     『Triangle of Sadness』


 直訳で「哀しみの三角形トライアングル

〈トライアングル〉は、もちろんヒエラルキー(階層・階級制)を表す意味もあるのでしょうが、実は「Triangle of Sadness」は「眉間の三角シワ」という意味もあります。


 この「眉間のシワ」は劇中で主人公カールの「モデルとしての弱点」となっており、また近年の極端な「格差社会」というものに対し「思わず顔をしかめて眉間にシワが寄る」という意味もあるのかもしれません。


 ダブル、もしくはトリプル・ミーニングですね。



     【上映時間】2時間27分

Amazonプライム・U-NEXT・Hulu・TELASA・YouTubeにて現在配信中



       【インフォメーション】

 こちらのエッセイ『あの映画は面白かったのか?』──現在は「note」にて、同タイトルでマガジン連載を開始しております。


 noteでは画像も添付できるので、さらに見やすく、また現在こちら「なろう」では載せてない映画の感想・考察なども書いておりますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。


 気に入って頂ければ、更新通知もお届けできますし、ブクマして頂ければこちらもたいへん嬉しく存じます。


 もちろん単に楽しんで頂きたいがためのマガジンなので無料公開です──私ペイザンヌに金銭関係も生じることは一銭もありませんのであしからず。


 日常で話のタネになるもの、またひょっとしたら皆様の創作のヒントにもなるかもしれない情報など、どんどん書いていきたいと思いますので、気軽に、ふらりと、お立ち寄り頂ければと思っております。


          【note】

  マガジン『あの映画は面白かったのか?』

  筆者名:ペイザンヌ

https://note.com/peizannu/n/n24392f562a11


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      アカウント名:ペイザンヌ

@Tatan8Tathu


 何卒よろしくお願いいたします。


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