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映画『あの日欲望の大地で(The Burning plain)』(2008)は面白かったのか? ──あるいは、“ただの”エッセイ──

 書き出しが難しい──とはハタシテ誰が言ったことだったか。毎回思うことではありますが、やっぱり頭を悩ませます。


 今回は少し思い出話をしたいと思います。単なる個猫的な日記になってしまうと思われます。


 まあ『あの日欲望の大地で』なんて映画、大抵の方は知らないだろーし興味があるって方もそんなにいないだろう。よってアクセスもさほど多くはあるまい──むしろ、そう見通してのことです(笑)


 しかも今回この映画のことにはほとんど触れておりません(笑)【勝手に三選】もお休みです。

 いっこうに読み飛ばして頂いて構いません。イヤむしろ今回は読み飛ばしてくださいませ。


 自由にのびのびと個猫的なことが書けるのもこのエッセイの良いところであります。



 ものごとには始まりというものがあります。


 例えばわしゃ、この『ペイザンヌ』というN区のサイバー・キャット、そしてこの名前、且つ存在が生まれて今年の3月末日でハヤ10年が過ぎました。実生活ですら『ペイちゃん』と呼んでくれる方もちらほら増えてきました。まあここ、なろうに来てからはまだ三年生くらいなんですがね。


 はっぴばーすでーわーしゃー、はっぴばーすでーわーしゃー、はっぴばーすでー、でぃあ、わーしゃー、はっぴばーすでーわーしゃー♪ わぁぁぁぁぁぁ~♪


 コホン……。袖すり合うのも多生の縁、深い浅いは確かにあれどこの御時世どんな媒体であろーと何かのきっかけで“繋がる”ってのは()()の縁があることなんだろう──と、そう思う今日この頃。


 その昔、ネットのない時代のつながりってのは当然のことながらその場その場で出会う人が全てであります。


 遠く離れた、会ったこともない人とこーやってあーだこーだと話すことなどあるはずもないわけで。


 おそらく幼少の頃からそれができる環境にいたという方とはまた少し違う衝撃、そして何とも異質な感覚が我らにはあったのです。


 そんなわしゃが駆け出し(?)の頃、とあるSNSの中で出会った方がおりました。ここではあえてJさんとしておきましょう。


 Jさんは映画が好きな女性の方でした。わしゃといえばその時もちらちらと映画の感想などを書いており、やはりそれがきっかけで繋がった方であります。


 JさんはJさんでやっぱり簡単な感想などを書いているわけですが、良く言えばズバッと正直に、悪く言えばヒジョーにざっくりと、書かれる方で「他の人は知らん、わしはこう思う」ってな感じですかね(笑)そこがとてもわしゃ的にすごく好感を持てたんですね。


 ただすっごい劇場に足を運ばれるんですよ。失礼な話、アナタの性格上こんな映画に興味あるの? てな映画のことまで書かれてたりするわけなんですね。単館上映のね、聞いたことのないようなタイトルまで。もう何でも見ちゃう。


 細かいことは知らん。他人が「面白い」とか「面白くない」なんか関係ねーよ、みたいな(笑)ただホントにこの人は「映画が好きなんだな」ってのが溢れてて、そこがまたわしゃを惹き付けてたのも確か。


 映画の感想はそんな感じでざざっと、あとは普段の日常生活を──時にしんみりと、時には言葉で暴れまくりと──実にあっけらかんとした書き口調でそりゃあわしゃも毎回楽しみにしていたものなのです。


 先日『わたしは、ダニエル・ブレイク』の回でも言ったとおり、わしゃはJさんによって日々、ほんの少し、ちょっぴりと、微かに、それでも確かに──“元気”を頂いていました。まあ、おそらく本人にはそんな自覚も、さらにそんな意図などに至ってはこれっぽっちもなかったと思われますが(笑)──またそれが良かったのです。


 そんな、ある時のことです。見知らぬ方から一通のメッセージが届いておりました。 


『──こんばんは。遅くに申し訳ありません。Jさんの友人の〇〇と申します。


もしかしたら他の方からお知らせがあったかもしれませんが、Jさんが亡くなりました。


詳細は私も分からないので何もお伝え出来ませんが、彼女のご家族から友人達への連絡が見込めない為、生前の彼女と親交があったと私が認識している方にご連絡をさせていただいております。


 彼女と仲良くしていただいてありがとうございました』


(──お名前以外は原文のまま──)



 そんなメッセージを頂いたのは今から五年前のこと。

 その日は皮肉にもJさんの誕生日でした。

 何かお祝いのメッセージでも送っておくべきだろーか、そんなことをちょうど考えている時でした。


 まだホントにお若く、あれほど元気だったJさん。自由奔放で確かにテンションの上下が少し激しくも見えましたが──


 一瞬目の前が真っ白になった──なんてのは下手くそな文章書きの文句だってのは承知の上。


 全ては結果論です。


 ネットの中でいろんな方と知り合う限り、朝起きたら急にいなくなっていて何の前置きもなく突然の別れもある──なんてことは皆様も幾度と経験があることでしょう。大抵の方はニックネームですから本アドレスでも交換していない限り──よほどの偶然でもなければ──二度と繋がることはないと思われます。


 こういう時代です。


 ただ、おそらく自分の人生の中で──会ったこともない人の死の知らせが届き、声を聞いたこともない人の死で呆然となったのは始めてのことでした。


 これもこういう時代です。


 なので、この場を借りて少しだけここに記すことをお許しくださればと思う次第です。


 実生活の上で友人や親戚が亡くなる、またはTVで有名人の訃報を知る、そういうのとも少し違う不思議な感覚を覚えた出来事でした。


 死の数ヵ月前、Jさんは空き巣に入られて鍵を取り替えたなんてことを書いてたので、ひょっとしたら何か事件にでも巻き込まれたんじゃないか──そう思い出すとどうしても気になって仕方がありませんでした。後日メッセージを頂いた方にそのむねを返信したのですが「私も詳しいことはわからないので」とのことでした。


 今となっては何事もなかったことを祈るばかりです。


 全ては結果論です。


──Jさんは死の一ヶ月前、いつものようにこんなことをさらっと綴っておられました。


「♪ いいもんねーー

 こんな感じで生きてくし

 いいもんねー

 こんな感じで死んでくし

 いいもんねーー!! ♪ 」


──また、こんなことも書いておりました。


「夜桜は六部咲き。

 桜から見える月は幻想的で『日本の美』を垣間見ました。

 知り合いの屋台で飲んだくれ楽しかったなぁ。

 わし、こんな感じでしんでいきたい」


──久しぶりに会ったお父様についてはこんなことを書かれておりました。


「一年ぶりの親父を背中から抱きしめ。

 ただ言えることは『長生きして』

 不甲斐ない自分。

 自分さえ、もっとしっかりしていたなら。

 ただ会えてよかった。

 私はあんたが大好きだ」



 全ては結果論です。

 例えそれが「後々読んでみると笑えないよ、Jさん」ということであっても。


 だからこそでもありますが、Jさんは決して自分の死を意識していた──とも思いたくもないのであります。


 意識していたのであれば少なくとも死の五日前『アイアンマン3』など見て能天気に感想など書きはしないはず……だと……思いたい。


 今となっては一度くらいはお会いしてみたかったなとも少し残念に思ってもいます。


 そして『あの日欲望の大地で』はJさんがとても好きだと言っていた映画であります。


 先日ようやく見ることができたよ、Jさん。


『トップ・ガン』『告発の行方』などのケリー・マクギリス、そして『モンスター』(めっちゃ好き!)『マッドマックス/怒りのデス・ロード』などのシャーリーズ・セロン、そして『ハンガー・ゲーム』シリーズや『世界にひとつのプレイブック』など今をときめくジェニファー・ローレンスが初々しい。各世代を代表する、まさに三大女優の共演作。


 母としての女、娘としての女、そして過去の()()()()によりその間で揺れうごめく一人の女。三代に渡るドラマ。


 これねぇ、作家さんであれば人物の「関係性」の勉強にすっごくなると思うんですよね。よくぞまぁこの短時間のうちにこれだけ表したもんだよってくらい。且つグイグイ惹きこまれる「関係性」なのね。東野圭吾さん辺りが好んで使いそうな設定かも。


“揺れる”“理屈ではない”……そういった感性が男性オス諸君より遥かに敏感で強い(と思われる)──まさに女性のための映画ではなかろうかとも思えます。


 今回ばかりは──Jさんがなぜこの映画が好きだと言ったのか、Jさんが何を思いながらこの映画を見ていたのか──ただそれだけの理由で観ました。


 映画ってのは時にこういう役割をすることもあってよいと思うのです。


 そして何よりも思いもかけず良作でした。ホントに女性の方々にはお薦めかも。



 Jさんには私めの小説などもよく読んで頂き、よく感想なども頂きました。「書き続けてね」ともおっしゃってくださいました。


 このテキトーでしょーもない私めのエッセイは、少なからずそのJさんの影響を受けてるんじゃないかと時々頭を傾げることもあります。


 でもまだまだですね(笑)


(だな。こまけーことはいいんだよペイザンヌ)


 Jさんからそんなコメントでも書かれそうです。


 いいもんねー、Jさんの文章もここでさらしちゃったもんねー、ざまーみろーだ、へへーんだ(笑)


 まあ、あれから五年も経ったことだし許してやってください。あなたが存在していたことを時々思い出すやつは少なくともここに一匹おります。


 だ、だからといってわしゃ幽霊トカ苦手なんで、お願いですから化けて出ないでください。

(;´д`)ひー


 あ、どーしても出るってんであれば明日は忙しいので、本来あなたの誕生日であるはずの5月8日に出てください。その時くらいは付き合います(笑)ただね、怖い格好は絶~対にやめてください。あと驚かせようと思ってTVから出てくるのとかやめてください。


 そんなJさんの最後の一文といえばこうでした。




──トップスのチョコレート・ケーキ食いたい。




 Jさんらしいや(笑)


 

 面白そうな映画があったら、またここでお伝えしますね。

( ̄▽ ̄)♪



 そして生ある方々へ。

 あなたの書く、ほんのちょっとした、何気ない文章もきっと誰かを元気にさせている……かもしれませんぞ。





※この文章を掲載するにあたり、今もまだ閉じておられないJさんのブログにそのことを記し、ご報告させて頂きました。

 もし何かの経緯で御親族の方、及び、御友人の方がこの文章をご覧になられるような場合、その多大なる失礼を寛容な心にてお許し頂ければと思っております。Jさんに心よりの感謝を込めて──ペイザンヌ──



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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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