映画『ボビー・フィッシャーを探して(Searching for Bobby Fischer)』(1993)は面白かったのか?
ここ、小説家になろうでは『前書き』『後書き』の部分がありますが、『本編』のところのように保存というかストックしておけないことを皆様ご存知でしょうか? ハイ、私は随分前から知っております。というのもいつも末尾に書いてる、
【本作からの枝分かれ映画、勝手に三選】
コレ『後書き』のところに書いておりますので。
これが意外とめんどくさい(笑)
( ̄▽ ̄;)
いざ本編を投稿するぞって瞬間に『後書き』の部分へ一気に書いてそのまますぐに投稿しなきゃならない。まあ、どこか別のところに書いておいて貼りつけりゃいいだけなんですけど、最近ではそれすらめんどくさい(笑)
( ̄▽ ̄;)
だったら別に『後書き』のところじゃなくて、本編末尾に書けよ! ってハナシなんですが、一度やり始めた形式を途中から変えるのも……な~んかムズムズしてそれはそれで嫌、てゆーか、半分意地。結局、一番めんどくさいのは……わしゃのこんな性格なのか?
(ー_ー;)て、話ですやね。
まあ、いつか【三選】が『後書き』のところに書いてなくなったら、鼻で笑ってやってください。
「ふっ、折れおったな。この腑抜けめ……」と。
(^_^;)
てなわけで、ペイザンヌですのよ。おほほ、いや~ん、ばか~ん(←めっきり恒例となりつつある、この『名乗りの部分』もネタがつきかけているヤツの末期症状)。
私は昔から競争が苦手である。
『嫌い』とはまた違う。そんなことは無下に口には出せない。競争は向上のための心の動きであってとても人間らしい一部だとやはり思ってるし、スポーツなどといった競争では時に人を感動させる力がある──そういったことも理解した上でのハナシである。
だから嫌いというよりは『苦手』なのである。
本当にこれは自分の最大の欠点だなと思っているし、この欠点によって何度も首をしめられてきた気がする。
走るのが好きならただ走ればいい。
けれど、それが競争になってしまうとどうしても他人よりも他人よりもというガツガツした感情が沸き上がり、なにより、そういう思考に走ろうとする自分に一番冷める。
けれど、誰かが喜んでくれるためだったらどうだろう? そもそも競争をするということは誰かに喜ばれたいからという思いが大半なのかもしれない。そうするとまた、応援したいし、応援されたい──そういう良い相乗効果も始まる。ほとんどの人がそう思っているのだと思う。しかし、競争がある限り必ず敗者というものも生まれるのもまた間違いない。
今回取り上げた映画、『ボビー・フィッシャーを探して』はそういった内面の疑問に光を指し示してくれる映画です。もちろん指し示すだけであり、“答え”は観る人それぞれが決めればよいというつくりであります。
ボビー・フィッシャーは知っての通り実在した『伝説』のチェスプレイヤーです。
まさに孤高の天才というにふさわしい、天才であるがゆえの苦悩と探索に満ちた壮絶な人生を歩んだアメリカ人であります。同じくロシアの天才プレイヤー、ボリス・スパスキーとの歴史に残る一戦が有名ですやね。時はまさに米ソ冷戦のさなかというのがまたドラマチックであります。
彼は同じ天才であるライバルとの闘いに心震わせましたが、それを食い物にするマスコミや政治家を極端に嫌いました。一人の人間と一人の人間の勝負であるに関わらず、まるで──アメリカとソ連、どちらが強いか、どちらが上かと──そういった歪んだ目線で大衆に見られることに憤りを感じておりました。そう考えると『ロッキー4/炎の友情』(1985)に繋がるところがありますやね。
そんな一戦目のテレビ中継──当時はベトナムよりキューバ危機より、この一戦に大衆は注目していたといいます──ボビーはボリス・スパスキーに大敗します。それが真剣だったのか、わざとなのかなど知る術もありません。そしてこう言うのです。
『テレビ中継をやめてくれ』と。
まるで負けたのがテレビ中継のせいだと言わんばかり。そんな言い訳がましい言葉にマスコミは「そんなことできるわけない」と鼻で笑います。
『だったら僕は闘わない──』
そんな一悶着の後、中継なしの対戦が再開されました。そしてその後の彼はなんと──ボリス・スパスキーに全勝してしまうのです。これにより彼はアメリカ合衆国の人間として初の世界公式戦チャンプとなり英雄となりました。が──
その後、彼は謎の失踪を遂げます。
表舞台から抜け出し、ホームレスをしながら各国で隠遁生活を続け、挙げ句は日本の成田空港で逮捕されるという事件も起こりました。
やがて『アメリカの英雄』は『アメリカの敵』と言われるようになります。ボビー・フィッシャーは負けず嫌いでも有名であり、今、この状態から『負ける』ことをとても恐れたのだという説もあります。
F.B.I.からも敵視され、9.11.の時には『ざまあみろ、アメリカは一度滅亡すべきだ』といった問題発言もしており、とにかく奇行が激しい人物だったようです。
そしてもう一人、我が国の天才──史上初の称号、永世七冠を獲得し、先日国民栄誉賞の授与が決定したばかりのあの羽生善治さん。彼が居場所をなくした「ボビー・フィッシャーを救え」と運動を起こしたことがあるのは有名な話。羽生さんに「あれはね、完璧な棋譜なんですよ」と言わせたボビー・フィッシャーでありますから、それはそれは、とんでもないモノなのでしょう。もちろん凡才のわしゃにはさっぱりですが……。
ちなみに、そんな羽生さんはこう言ってますね。
「自分としては、負けることがあっても、結果が出ないことがあっても、常に挑戦していく気持ちというか、自分なりに思い切ったことをやっていこうという気持ちを極力失わないよう、続けてきたつもりです。時にはちょっと保守的になってしまうこともあるのが実情ですが……」
言葉の裏側に──世界チャンプとなったボビー・フィッシャーの影のようなものを思い浮かべたのはきっとわしゃだけではないと思います。
やはり、負けてしまうのは怖い、けれど負けることを恐れてもいけない──尊敬するボビー・フィッシャーの後生を見て、羽生さんはどこかでそんな折り合いをつけながらこれまでの旅を真っ直ぐに、そして時によってはだましだまし歩んできたのではないかとも感じます。
そのボビー・フィッシャーですが、彼はこの映画には登場しません。これは彼の半生を描いた映画ではありません(もし、そちらの方が見たいという方がいらっしゃいましたら【三選】の方に記しておきますね──)。
この映画は類い稀なるチェスの才能があることに気付いたひとりの少年、そしてそれを取り囲む人々の物語であります。周りの期待と希望を背負い試合をこなしていく少年の葛藤と純粋な透明感がとても胸を打つ映画です。
そんな主人公もさることながら、もう一人、実は負けたくて仕方がない『誰か自分を早く打ち負かしてくれ』と無言でその願望を表す現チャンピオンの少年がいます(実は彼こそがボビー・フィッシャーの隠し持った影が投影されてるのではないかと思っております)。そんな彼と主人公の少年の交流を軸にストーリーが展開されていきます。
子供たちの演技がとにかく素晴らしいです!
そんな二人の闘いですので、ラストでほんのちょっとだけ見せる主人公の瞬間的な闘志がガツンとキいています。
周りを固めるは『ガンジー(1982)』でアカデミー主演男優賞を獲得したベン・キングズレーや若くて荒々しいローレンス・フィッシュバーン(『マトリックス』三部作のネオを導くあの人ですね。『バットマンvsスーパーマン』なんかにも出ております)たち。
ダウンタウン風のスピーディーなチェスの闘い。これがなかなかかっこいいのです。めっちゃ速いです(笑)
まだ、こんないい作品が埋もれていたとは。まさに『ボビー・フィッシャーを探して』のような作品をもっともっと『探して』いきたいなと思っております。
心穏やかになりたい時にはお薦めの一本。
映画のポスターを何枚か部屋に貼っていいよと言われたら一枚はこの映画のポスターを選ぶかもしれませんね。私は。
先程も書きましたがこの映画を一言で表すならば『透明感』です。
【本作からの枝分かれ映画、勝手に三選】
★『シンドラーのリスト』(1993)
……言わずと知れたスピルバーグの名作ですが、実はこの脚本、この『ボビー・フィッシャーを探して』の監督・脚本のスティーブン・ザイリアンが書いておりました。私もびっくり(笑)脚本畑の方だったのですね。『シンドラー』でアカデミー脚色賞を獲っております(へぇ~)。他にも、本エッセイでも以前取り上げた『マネー・ボール』や『ハンニバル』『レナードの朝』『ミッション・インポッシブル(1)』、最近では『ドラゴン・タトゥーの女』など超有名作品の脚本も書かれてるようです。調べてみるもんですね~。
★『完全なるチェックメイト』(2014)
……ボビー・フィッシャー本人の伝記ストーリーが見たい人はこちらですね。サム・ライミ版のスパイダーマンを演じたトビー・マグワイアがボビー・フィッシャーを演じております。監督は『ラスト・サムライ』のエドワード・ズウィック。本編で触れたボリス・スパスキーとの世紀の一戦がより熱く、よりドラマチックに見ることができるでしょう!
『四手先は三千億通り──』このキャッチフレーズ、いいですねぇ。
( ̄▽ ̄)
★『フルーク』(1994)
……遅ればせながら明けましておめでとうございますm(__)m
今年は戌年でありますね、ってことで一本『犬』の映画を。
もし、あの野良猫が知り合いの生まれ変わりだったら? 虐待した野良犬が愛していた人の生まれ変わりだったら……そんなことを思うと動物を虐められませんねっ! いや、そう思わなくても虐めちゃダメですけどね。
どうしてこの映画を選んだのかというと本作のあの純粋な瞳の子役ってその後どうなったんだろ? て、ことで検索してみるとこんなファンタジー映画に出てました(主演じゃないけど)。
主役は犬です(笑)ゴールデン・レトリバーの子犬です。めちゃめっちゃ可愛いらしいです。犬界のオーランド・ブルームだそうです。でも声はサミュエル・L・ジャクソンだそうです(笑)人間の主演はマシュー・モディーン。『恋しくて』のエリック・ストルツなんかも出てます。懐かしいですね。『バタフライ・エフェクト』での悪役も意外というか光っていたのを思い出します。
らしい……? ……だそう?
そう、私もまだ未見です
(^_^;)ゴメンナサイ……
ただ、他の方のレビューなんか読んでると「あ、これは泣くな……」と。てゆーか、読んでるだけで泣きそうになりました。隠れた名作ぽいので「隠し球」に持っていてもいいかもしれませんよ。
そんなわけで一緒に『探して』みませんか? こんなことをしてるうちに今回は自分自身でもいろいろと発見がありました(笑)
では、皆様今年もよい映画ライフを♪




