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【Another‐Take②】“奇跡”のバトル

 

 前回、とりあげた『リング』ですが、『らせん』や『ループ』などの続編もどんどん作られついには『貞子vs.伽椰子』なる映画も公開されましたやね。


 そのキャッチコピーが、


〈呪いには呪いをぶつけるんだ!(≧∇≦)〉


 って、(ー_ー;)ナンジャソリャ……。


 もうなんというか、私の“脳内横断歩道”の上をですね、カルガモさん親子の群れが二往復くらいしてしまったと言いますか。なんかむしろ逆に観たくなってきたんですけど(笑)


 思わず、以前『エイリアンvs.プレデター(2004)』なる映画もあったな~などと思い出してしまいました。


その公開当時のキャッチコピーが、


〈どっちが勝っても、人類に未来はない〉


 



  (@゜▽゜@)





 このキャッチコピーを見た時も、レンタル屋の前で三秒ほど意識を失いましたもんね。で、やっぱり私の“脳内滑車”をハムスターが二十周くらいカラカラと回し、これ書いたやつ天才なんじゃなかろーか……という結果に落ち着いた時を思い出しました。


 


 ども、ペイザンヌでありんす。



 今回のテーマ“バトル”を売りにした映画というのはいろんな形で星の数ほどあんだけど、実は私、銃撃戦のドンパチというのがなんだか苦手でございまして、よほどの映画でない限り銃弾を何万発使おうが人が何千人死のうがそういった露骨なアクションが長々と続くと「このシーン早く終わんないかな……」みたいな気持ちになってきちゃうんですね。


 もちろん、そんなバトルの中でも『すんげぇなコレ(゜_゜;)』と思った映画は何本もあるわけで。有名どころで言えば『スター・ウォーズ・エピソードⅠ・ファントムメナス(1999)』。

  物語うんぬんはともかくラストでダース・モールと戦うオビ=ワンたちの三つ巴のライトセーバーでのバトルの“殺陣たて”は実に美しい。2対1という戦いはそれまでのスター・ウォーズにはなかったものだし敵のセーバーが両刃というのも面白い。ダース・モール役のレイ・パークが役者ではなくスタントマン起用ということも大きいのでしょうが。

 旧三部作から長い年月をかけて飛躍的に進化したスピーディーな動きは「これが見たかった!」とファンとしては鳥肌ものでした。

 まあ、だからこそこのエッセイの初回で述べた最新作のエピソードⅦのセーバー戦がショボく見えたんですがね……(*_*;




 さらに、知る人ぞ知る『ゼイリブ(1988)』というジョン・カーペンター作品。


 宇宙人がいつの間にか人間に化けて侵略を開始しているのだが、特殊なサングラスをかけることによってそのガイコツみたいな正体が見抜けるというしょーもないB級SF。いや、むしろカルト的B級? 

 本来、その宇宙人とのバトルを繰り広げねばならないはずなのに、予算の都合なのか(?)中盤で主人公と黒人の“人間どうし”のストリート・ファイトが始まっちゃう。


 この場面がやたら長い! 


 まだ、闘うん? 


 ってゆーか宇宙人は? 


 みたいな……。


 んで、私の悪い癖なんでしょうね、今度は私の頭の中の“脳内石川さゆり”が天城越えしちゃったっていうんですかね、逆にこの映画すげぇな、と(笑)


 思わず見入ってしまったバトルでした。

 

 そして、定番ながらも神(神父)と悪魔の壮絶な闘いを描いた『エクソシスト(1973)』も外せないところ。

 ホラーが苦手な私ですが、この映画は何度見直したことか…。わたしの中ではホラーというより名作のカテゴリに入れてますけどね。

 気のせいかこの映画って全体的に“白”のカラーで統一されてるイメージがあって、そしてその“白”がまた冷たくて怖い……。


 リーガン少女の首が回ったり緑色の汚物を吐いたりするのも怖いが、むしろ冒頭の発掘のシーンでチラッと見える馬車に乗った不気味な“もの”やこれから何か起こるのではという兆しの方が怖い。


 神父とのバトルも凄いが、それよりも若きカラス神父の母の死という罪悪感につけ込んでくる悪魔の戦略がむしろ怖い。


 

 また、怖くもあるけどコワオモロイ『霊幻導師(1985)』なども当時としてはとても新しいバトルでした。お札を額に貼ったら動きが止まるとか、息を止めたら気付かれないとか、今までにはなかった戦いを繰り広げてくれたのはチョーゼツに楽しめましたからね。それまでにはまったくなかったホラーコメディと言っていいでしょう。

 これは一作目に限りますね。続編とかテレビ放映のテンテンちゃんのやつとかはまったくもって興味ありません(笑)



 バトルといえばカーチェイスだって立派なバトル。邦画では『おくりびと(2008)』でアカデミー外国映画賞を獲っちゃいましたね、滝田洋二郎監督が若い頃に撮った作品『木村家の人々(1988)』にカーチェイスならぬ“自転車チェイス”があるのですが、これがなかなか凄いというか斬新でした。


 邦画でカーチェイスやっちゃうとどうしても西武警察みたいになってしまうのが残念でしたからね。

 

 去年公開の『マッドマックス/怒りのデスロード(2015)』までとは言わずとも、当時の日本で『フレンチ・コネクション(1971)』や『ブリット(1968)』のカーチェイスに対抗するには自転車しかないでしょと逆転的なのが嬉しかったのを覚えてます。


 その自転車チェイス魂に火をつけたのは何といってもジャッキー・チェンの『プロジェクトA(1983)』だったんでしょうかね。あれも今となっては歴史的名シーンとなってしまいました。



 で、極めつけ。今までに観た数多くの映画から自分の中のベスト・オブ・バトルははたしてなんだろう? と、考えてみたところ──



『奇跡の人(1962)』



 これだな、と。


 サリバン先生vs.ヘレン・ケラー。


 感動的名作のようだが何故に? と思う方はだまされたと思ってぜひ一度観てほしいです。

 御存じ、生まれつき耳、目、言語ともに不自由なヘレン・ケラーを描いたモノクロ映画です。


 バトルと言ったのは暗喩ではありません。彼女たちは本当に闘うのです。


 生まれつき聾唖障がいであるが故に両親に甘やかされて育ったヘレンにサリバン先生はまず、しつけを教えます。食事はスプーンを使って食べるものだということを教えようとするわけですが、ヘレンはその意味がわからずバトルに発展していくわけです。


 今回、これを書くにあたって改めて見直してみたんですが、いや~やはり壮絶なバトルでした。これぞまさに肉弾戦! せっかくなんでタイムも計ってみました(何してんの、俺?)時間にしてなんと8分! しかもヘレンは喋れないのでこの間一切台詞なし。さらに音楽もなしなんです。


 ただひたすらサリバン先生はヘレンにスプーンを持たせ口に食べ物を入れさせようとします。何回もです。もうね、ホント、何回も何十回もです。その間つかみ合いになるわ、殴るわ、蹴るわ、噛みつくわ、髪引っ張るわ、口の中のもの顔にひっかけるわ、バケツの水を浴びせかけるわ、密室の中でえんえんバトルが繰り広げられるのです。

 これにくらべるとね、ゾンビ映画なんか可愛いもんです(笑)

 シュワちゃんもセガールも、リーアム・ニーソンですら真っ青です。


 とゆーか、この闘いはなんかもう前述した『エクソシスト』に通じるものがあります。はい。いろんな意味で。モノクロの映像が怖さに拍車をかけます。


 ヘレンの獣のようなうめき声とサリバン先生の荒い息使いだけが響き渡る8分間のため、あまりボリュームをあげすぎると隣の人に変態SMビデオでも観てるんちゃうかと誤解を招く恐れがあるので気をつけましょう。(いや、ホントだから!)


 まあ、もちろんバトルだけでなく観る価値は十二分にある作品です。


 いわゆる“気づき”というものの本質がとてもよくわかる作品です。



 童話なんかで名前を当てられたら消えてしまう化け物の話などよくありますが、なるほど、こういうことなのかと頷けます。



 わかってはいてもラストでヘレンが“ものの名前”の意味を理解する場面(有名な「WATER!」のシーンですね)にはぐっときます。



 サリバン先生は「教える」ということに「愛」はないと言い切ります。



 むしろ愛したいから教えるのだ、と。



 現代でもなかなか言えないテーマをこの五十年以上前のモノクロ映画は真っ向から突きつけてきます。



 とゆーか、このパティ・デュークという子役はおそらくこの役をやるために生まれてきたんじゃないかくらい。当然のように彼女はこの年のアカデミー助演女優賞を獲得しております。


 つまるところ、映画だろうと現実だろうと“闘う意味”というものがない争いほど“無意味”なものはないのでしょうなと思う今日この頃。 アクションを見せたいがためのバトルはプロレスと同じでエンターテイメント性はあります。


 が、やはり“何のために戦うのか”というそのポイントが強いものこそ真に心に残るバトルとなっていくのだなぁ、と。


 皆様ははたしてどんなバトルが記憶に残っているでしょうか?

 

 そして皆様の頭の中にはどんな“脳内アイテム”がありますでしょうか?


 


 そんな皆様の思い出のバトルに敬意を込めて。

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