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映画:先行上映『ミッションインポッシブル/ファイナル・レコニング(Mission: Impossible – The Final Reckoning)』(2025)は面白かったのか?

 皆さま、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?

 N市の野良猫、ペイザンヌです。


 29年続いたシリーズの終章、ファイナルということで、1作目からずっと追い続けているボクとしてもとても感慨深いものがありました。イーサン・ハント、そしてトム・クルーズ、本当にお疲れ様!──という気持ちは人一倍、人二倍あるつもりです。その旨はXなどにもポストしたのですが──


 先にお伝えしておきますと、正直、この先は『ファイナル・レコニング』を大いに楽しめたという方にとって不快感を与えてしまう文章があるかもしれません。なので、そういった方は読まないこともお薦めしておきます。また、なるべく気を付けて書いてはいますがネタバレが絶対に嫌だという方は自己責任でご注意くださいませ。


 こう書いて勘のいい方は察してるかもしれませんが、実をいうと今回、ボクは単体の作品としては……少々書きにくいですが──結構、不満足だったのです。もちろん、他の方、多くのファンの方の感想を見る限り「面白かった!」──という声が多く、観てる間はボク自身も楽しめたところが多いです。なのでその点は「これから観に行くよ」という方は安心なさってよいと思われます。

 

 ボクの不満はやはり脚本上、ストーリー上の不満ということになるわけで。

 まず、ボクは前回『デッド・レコニング』の感想の時、こう書きました──


 タイトルでもある、本当の“ミッション・インポッシブル(不可能なミッション)”を達成することとは何か?──と考えると、そうして相手に(A.I.に)完全に行動全てを読まれてるのに、その裏の裏の裏をかくこと──「まさかこれは“しない”だろう」という行動に出ること──だともいえます。それはもはや「未来を変える」ことにも近いですよね。それこそが本シリーズのキモともいえるわけで。

 おそらく『2』(ファイナル・レコニング)で、イーサンは“それ”をやるのではないでしょうか?──と、ボクはそう予想してたりしてます。


 ボクはこの部分をめちゃめちゃ楽しみにしていたのですよ。前作のクライマックスで「イーサン、殺すな。殺せば“それ”の思う壺だ。それもヤツの計算のうちだ」──そんな台詞がありましたからね。ここは最も面白い部分だな、とそうボクは思っておりました。


 それが今回、蓋を開けてみると、どうにも曖昧な決着だったというか「A.I.システムを破壊する毒素」などで簡単に決着しちゃったな……というガッカリ感が大きかったんですよ。

 まーた、それを手に入れようとするイーサンと「青を切れ、赤を切るな」といったベンジーたちとのカットバックか……と、どこか既視感のある、まあ『ミッション・インポッシブル』では言ってみれば、お決まりな展開。


 イーサンを取り囲む国家系の人たちとのわちゃわちゃは正直「もういいよ」とうんざりしてたんですよね。どちらかというと「先を見越せる“それ”(エンティティ)と、その裏をいこうとするイーサンたちの心理戦」のようなものが見たかったというのがボクの願いでした。


 その上で“アナログvsハイテク”という『トップガン/マーヴェリック(2022)』の時のような面白さを含めたりして──最後の飛行機の闘いの場面に持っていければ理想だったなと。そうでないと今回の敵に「A.I.」を出してきた意味がもはやないんじゃね?──くらいだったんすよね。


 シリーズ最高、映画界としても高額な4億ドル(およそ600億円)の製作費だったようですし、確かにそれを感じる映像、場面もあるにはありましたが……なんかそういったスケールの大きさよりもやはりもっと内面の面白さを出してほしかったな──というのは否めません。


 というのも『デッド・レコニング』はボクは本当に面白くて、感想でもちゃんと「面白すぎて思わず涙が出てしまった」とすら前回書いてるんですよ。

 ぶっちゃけ今回の『ファイナル・レコニング』の30倍くらい面白かったと思ってる方です。


 観てる途中で特に強く感じたのは、この「レコニング・シリーズ」2作の風呂敷、さらには『ミッション・インポッシブル・シリーズ』全体の8作の大風呂敷とを、まとめて急激に閉じようとしてるのが原因のようにも思えました。


 というのも今回のモヤモヤは『ミッション・インポッシブル』シリーズの他の作品ではほとんど感じたことのないモヤモヤだったので。ボク自身ちょっと戸惑ってしまったというか……


『Mi-3』で出てきた「アレ」をトートツに持ち出してきたり、1作目『Mi-1』の「あの人の息子」や「あの人」などが急に出てきたり(まあ、あの人は顔にインパクトあるし皆の記憶にも残ってる有名なシーンに出てた人ですからね)──なんとか繋げて強引に風呂敷を閉じようとしてる裏の顔が見えちゃったんすよね。もちろん「全作観てる人」に対するファンサービスで「おおっ!」と思わせたかったのはわかるのですが、困ったことにボクはひねくれてて、そういうのが逆に「その設定、今回いる?」とか「あざとさ」を感じてしまう性分でして。


 そんなことより、この作品単体の面白さの方に時間を割いてほしかったな──という派なのであります。


 その証として「なんとまあ説明セリフが多い映画だろう」──と。一度これを感じてしまうと途中でボクの中の何かがスッと引いてしまうんですよ。出てくるたび「ああ、また説明か」と。

 会話が会話として成立してない「説明するためのセリフ」のなんと多いことか。


 この映画の前に『シンシン/SING SING(2025)』などを観たのもいけなかったか、特にそれを感じちゃったんですよ。『シンシン』は内面から自然に出ている「名台詞の宝庫」のような映画でしたからね。


「いやエンタメ・アクションなんだから、そんな台詞は必要ないよ!」と言う方もおられるでしょうが、いやそう! まさにその通りなんすよ! アクション映画なんだから、こんな細かな説明のいるシーンなんてとっ外して、もっと簡略化してよかったんじゃね?──と思います。


 それこそ「その説明」が、あとあとキいてくる心理戦やどんでん返しへの伏線になるのならまだしも、結局「なんでもできちゃうA.I.システムを毒で殺そうぜ」ってだけの話なんですから(何度も言いますが、そっちに行ってほしくなかったんすけどねw)。

 終わってみれば本当にあれ「単なる状況説明」オンリーだったんだな、という台詞が多かったですね。


 そのため、観てない人でもわかるようにやたら出てくる「様々な前作への回想ショット」なども、ボクにはやはり単なるファンサ、あざとく映ってしまい……(もともと回想シーンの乱用は脚本執筆においてはあまりよろしくないとされております)


 この「あざとさ」というのはボク個人、ひとりだけの感覚なのでホントにお気になさらぬよう(-_-;)

 以前、ピクサーのアニメ『マイ・エレメント(2023)』を観た時も似たようなことがあり、たいへん面白く、美しく、涙すら流したんだけど、この「あざとさ」を「もう一人の自分」がどこか感じてしまったくらいなので。


 そういった意味では──あくまでボクひとり、個人としててすが──シリーズの集大成どころか、最も低い位置づけになってしまったかもしれません。


 なので正直、ホントにコレで終わって欲しくはなく、なんとかもう1作(とは言わず、2作でも3作でも)やってくれないかな!──というのも願いなんですよね。まさに「僕の最後のお願いだ…」スよ。


 誤解なきよう何度も書きますが、ボクはいうて『ミッション・インポッシブル』シリーズが大好きで、今回もトム・クルーズの本作における熱と頑張りも「いやいやいや、よくやるよ!スゲーな……」と思っております。


 不満はあくまでストーリーにおいてのことでございます。


 矛盾してることを言ってるようですが、観てる間は──上に書いたようなことを「もう一人の自分」が後ろから語りかけてきて邪魔してたにせよw──やはりなんだかんだで目一杯、楽しんでいたということは最後に書いておきたいところです。


 ては、また次回に!


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「note」の方でもこちらのエッセイを連載しております。画像付きでさらに読みやすく、こんなことからあんなことまでさらに詳しく、あなたの映画ライフをより豊かに♪note版『あの映画は本当に面白かったのか?【完全版】』
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