第二章不要と必要
一度、頭を冷やす。メールの内容は理解できた。
進路調査票に関することだ。
しかし、何が問題なんだ。
未来で困ってるのか?
例えば、金とか。
しかし、何故?
しかもどうやって送っている?
訳がわからない。
そもそも過去の自分がどうして未来を知っている?
ううん、どうにも解せない。
………相談してみるか?
アドレスからあの5人の名前をあげる。
不安と期待がいりまじわる。
もし、もし信じてもらえるなら自分は
ブルッと一瞬指の先が震えた。
ブーブー
ケータイが鳴っている。
着信?
一体誰から?
ディスプレイを確認する。
藍葉誠からだった。
すぐにボタンを押す。
「…もしもし?」
「オー、楓か。なあなあ、お前のとこにもメール来たろ?オレのとこにも来てさ。イヤーびっくりの何のってさ!」
えっ?
何だ?
今、聞き慣れないものが。
「待て!お前のとこにもきただと?」
「ん?ああ、まあな。でさ、ここからがびっくり仰天の何のってさ!実はアルカディアへのチケットと
行き方が書いていてさ。」
「はあぁぁ!??ちょ、待てよ!急展開過ぎるだろうよ!あと、他のみんなには話したのか?」
「もっちろん、話したとも!みんなにも届いていたよ。自分からな♪」
これは、一体?
やはり、みんなとはあいつらのことなのか?
とにかく…
「………分かった。みんなを集めてくれ。今日、学校の校庭で会おう」
「ん、了解でーす、じゃあねぇー」
うるさいな、相変わらず。
ま、いいけど。
さて、マンガ的展開だと帰るのはだいぶ後になりそうだ。その前に挨拶しとくか。
「母さん」
「あら、どうしたの?」
「ちょっと、出掛けてくる。帰って来るのは遅いと思う。…ごめん」
「いいわ、いってらっしゃい、お土産買ってくるのよ?」
かなりの楽観的母親だ。
まあ、いいか。
「…行ってきます」
「行ってらっしゃい」
ああ、行ってきます。