What happened to Red Riding Hood?
「ハハッ...なんだこれ。」
思わず失笑する。
この森にこんな大きな岩あったっけ?いや。
そもそもこれは岩ではない。
おいらの見る限りでは、大きな...石の壁。
ボキャブラリーの少ないおいらが最初に感じた第一印象だ。
どうしよう。
登るのめんどくさい。でもこれじゃ目的は達成できない。
現在のおいらの目的はこいつ、赤ずきんをおばあさんの家まで送り、帰りすがりに正体を表し、喰う。
第一関門到達。やったね。
「大きい岩壁だねぇ。」
のんきな彼女はそう呟く。がおいらはそれどころじゃない。
だって目的を果たせるか出来ないかの瀬戸際にいるんだから。
「どっ...どうしよう。」
方唇をヒクつかせ、おいらは赤ずきんの方に顔を向けた。
彼女はケロッとした顔で、
「登ればいいんじゃない?」と。まるで当たり前ですとでも云わんばかりの態度で言った。
おいらはどうやら考えすぎていたようだ。
もっと気楽にいこう、うん。
「そうだよね。おいら...なんか色々考えちゃったよ。」
頭を軽くかき、愛想笑いを浮かべる。
そんな下手くそな笑い方なのに彼女は心の底からの笑顔で答える。
「ポジティブ思考って大事だよ。」
ああ、そうゆう子なんですね。はい理解しました。
彼女はうでまくりをすると張り切った様子で岩の隙間に手をかけた。
あの、こっちに道あるよ。
そろそろ着いてもいいんじゃないかな。頂上に。
思いがけぬ登山はもう一時間をゆうに越していた。
疲れた。歩く速度を落とすとドッと疲れが体を襲った。
自分の喘ぐ声を聞きながら目の前にいる彼の姿を見た。
さすが男の子。十二歳の女の子になんて負けてないよね。
足を止めると不意に彼が後ろを振り返った。
「大丈夫?」
いきなりだったからビックリして慌てて岩にしがみつく。
下は意外と遠くて青々しい木々が風になびいていた。
あそこは涼しそうだな。ここは太陽が直で当たって暑いよ。
赤ずきんを脱ぎたくなるが絶対しない。
もう私はこれを脱がないって決めたの。
あっ、お風呂の時以外。
足が痙攣しそうだ。馴れていてもブーツはやっぱり歩きづらい。
さっきから何度も落ちそうになった。
だんだん歩みが遅くなる私と反比例して彼はどんどん進む。
ちょっと待って。
頭ではそう言いたいのだが口はハァハァ言うので精一杯らしい。
そんな私の言葉を気にせず、なんか彼が話してる。私に向かって。
でも何を言ってるのか分かんない。
頭がグラグラしてダルい。
長い間太陽に当たってるからかな。
でも彼は汗をたらしながら忠告してる。
えっ?何を?
そう思った途端、足に嫌な感触が伝わってきた。
まるで歩いていた場所が一瞬で消えたような。
ガラガラと岩と岩がぶつかる音がする。
そして感じるふわりとした感覚と...恐怖感。
私に明日は来ますか?
To be continued...