The forest
こうして赤ずきんはおばあちゃんのお見舞いに行くことを決意した。
ユアンは早速かごバッグに葡萄酒とケーキをつめて赤ずきんに手渡した。
そしてその上に白いレース付きのハンカチ?を被せた。
大丈夫かな?本当に。
「さっき言った通り猟師さんと一緒に行くのよ!他の人とは話しちゃ駄目だし、付いていっても駄目。
道草もアウト。いい!お母さんとの約束。」
人差し指をピンと立ててきつく言う。
これだけ言えば大丈夫ね。そう安心したのがいけなかった。
「もう、分かったってば!」
赤ずきんはそう言うとカゴを持ってドアの前に立った。
クルリと振り返ると白いエプロンがふわりと揺れた。
「じゃあ。いってきまぁす。」
元気に笑うと赤ずきんはドアを開け、森に向かって歩いていった。
ユアンはその後ろ姿が見えなくなるまでドアの前に立った。
やがて揺れる赤色が見えなくなるとハーブティを作るために家へ戻っていった。
赤ずきんはユアンとの約束を自分の頭の中で繰り返していた。
他の人とは話しちゃ駄目だし、付いていっても駄目。道草もアウト。
そこにお百姓さんが一人やって来た。
赤ずきんにニッコリ笑いかけると大きな声で話しかけてきた。
「やぁ、赤ずきんちゃん。何処へ行くの?」
赤ずきんは頭の中で約束をもう一度繰り返し、この人とは話しても大丈夫だ。
と判断した。
「おばあちゃんのお見舞いに森へ行くの。」
赤ずきんがそう言うとお百姓さんはビックリ顔で、
「あそこは危なくないのかい?」
と聞いた。
赤ずきんは少し考えるそぶりを見せた。だがすぐに顔をあげて、
「猟師さんと一緒に行くから大丈夫よっ!」
と答えた。
15分は経っただろうか。赤ずきんの目の前に大きくそびえ立つ森が見えた。
あそこね。
森のすぐ側には看板が立て掛けてあった。
この森危険。
としか書かれていなかった。
赤ずきんはそれを無視して森の中に足を踏み入れた。
それを黒い影がじぃと見つめていた。
茶色く尖った耳。
鋭く長いやいば。
ゆらりゆらりと揺れる尻尾。
そして長い爪。
黄色く鋭い瞳を赤ずきんに向けているこいつこそー
狼。
To be continued...
やっと主人公登場ですね。