The letter from grandma
赤ずきんの本名は××にします。
「見て!あれっ。××赤い頭巾被ってるよ。」
金髪の女の子が赤ずきんを指差して言った。
「ほんとだぁ。似合ってるよ!」
黒髪の優しそうな男の子も言う。
彼の名前はイラン。母親が薬草学者で将来は医者になりたいそうで。
実は赤ずきんに気があるとかないとか。
「皆誉めてくれる~!ヤバい。嬉しすぎる。」
十二歳の女の子は似合ってる、とか可愛いに弱い。
赤ずきんが良い例だ。
「これからは赤ずきんって呼んでねっ!」
村人が作った小さな道をトタトタ歩きながら皆にお願いする。
手を振ると皆振り返してくれる。
ムーン村の村人は好い人ばかりで争いや喧嘩も稀である。
子供の中では赤ずきんは特に人気があった。
元気すぎて物を壊すわけでもなく、かといって根暗で無口でもない。
少し自己意識が人より過ぎているだけ。そこは問題にはならないのだろうか?
皆に沢山の誉め言葉を貰い、栄養タンクをいっぱいにした赤ずきんは
スキップをしながら家に戻っていった。
「ただいまー。」
と叫ぶなりトイレに駆け込み手を洗う。
ババッとキッチンに行くと一番下のキャビネットを開けビスケットを取り出す。
赤ずきんのお母さん、ユアンは小さなため息をついた。
隠してたのに。と思ってももう遅い。
おばあちゃん用の揺れる椅子に座ってもうガジガジとかじっているから。
というか家の中でくらい頭巾取ったらどうなのよ。
よほど気に入ったのね。
それから何日かして、おばあちゃんから手紙が届いた。
ユアンは最初に小さいメモを取り出して読み上げた。
「葡萄酒二本と苺のケーキ。って何よこれ。」
リビングの花に水をあげていた赤ずきんが顔をあげる。
「おばあちゃんから手紙来たの!?」
赤ずきんはユアンに駆け寄るとメモをパッと取り上げた。
「葡萄酒二本と苺のケーキ?美味しそう...!」
苺のケーキはともかく葡萄酒は勿論飲んだことはない。
雰囲気で美味しそうなんて。よく言うわね。
「それはメモみたいね。こっちが本文。」
と言いながら本文の方に目を向ける。
何々?
ユアンへ
あたしゃこの年で病気にかかってしまった。
一回倒れてからはもうほとんど寝たきりだよ。
迷惑はかけたかないけど、少し生活するのが辛い。
悪いけど赤ずきんをお見舞いに送っておくれ。
孫の顔を見たら元気が出るらしいからね。
メモにあたしが欲しいものを書いておいた。
それらを赤ずきんに持たせてお見舞いを頼んどくれ。
あの森の事なら心配要らないよ。
森に入ってすぐに猟師の家があるからその人と来てもらえばいい。
よろしく頼んだよ。
おばあちゃんより
ということは、簡潔に言えば病気で倒れたからお見舞いをよこしてくんろー。
って事。
あの森は危険だけど猟師さんが付いているのならば大丈夫かしらね。
ユアンは冷静に事を整理して赤ずきんに告げた。
「分かったわ。あたし、お見舞いに行ってくるねっ!」
To be continued...