The fantastic flower and the smell of coyote
日差しが照らす気持ちのいい花畑。
小鳥たちがさえずっていて小さな動物たちが駈けている。
私は色とりどりの花を集めて束ねる。
ピンクの花、黄色い花、白い花…様々な花たちが私の腕の中で笑っていて、見るだけで心がスッキリする。
おばあちゃんは特に白い花が好きだったな。
何の色にも染まっていない、純白の花。
あれっ?あの花…。
一際目立つ小さい花。しかもそれは自然の物ではないように見えた。
いや、自然に出来るわけがない。
その花はありえない事にシマシマやドットがあしらわれている不思議なものだった。
神秘的といえばそう見えるけど…しかも独特な匂いがする。
決して悪い匂いじゃない。むしろいい匂い。
これはいいと思って早速ルーパスに見せに行く。
「ルーパス!!可愛い花見つけたよー!見てみて!」
見せびらかすように高く花を持ち上げて走る。
彼は花を眺めていた顔を上げ、
「何だ?見してみろ。」と言った。
私はにゅっと花をルーパスの目の前に持ってくる。
すると彼はいきなり眉間にしわを寄せ、鼻に手をおき、後ずさった。
そして怪訝そうな顔つきで叫んだ。
「何じゃこれっ!!くっさ!!」
えっ?臭い?そんな訳…。こんなにいい匂いなのに…。
「そんな事ないと思うけどなぁ…甘い香り好きだよ?私。」
そう言って花を自分の鼻に近づけて、嗅ぐ。
やっぱり…私にとっては全然。なのに何で?
感覚違うのかな。
「でもこれ絶対気に入るよ!私のおばあちゃん。」
私はカゴにソッと入れて他の花たちも入れた。
あーあ…もうおしまいかぁ…苦い思い出が残っちゃったな…
あの変な花。一体なんだったんだろう。自然界にあんな花が生まれる訳がない。
異様に臭かったし。やっぱおいら、人間と比べると鼻が利くんだな。
にしてもコイツ。異臭はなってるってのに気づきもしねぇし、甘い香りて。
おいらは赤ずきんのカゴをチラ見してため息をつく。
近づきたくないなぁ。
花畑に誘ったのを半ば後悔しながら歩みを進めていくと。
不意に嫌な臭いが鼻孔をくすぐった。
花の匂いじゃなく、よく知る獣の臭いだ。
やつら、腹をすかして狙ってんだな。
おいらの獲物を。横取りされてたまるかっ!
辺りは茂みが生い茂っていて、やつらの姿は見えない。
だけど、必ず近くにいる。単独だな。
狼のおいらに勝てるわけないだろ。
そう思っていて尚警戒する。赤ずきんは不審そうにおいらを見た。
「どうしたの?なにかいるの?」
おいらは答えなかった。神経を研ぎ澄ませる事にだけ集中していたからだ。
今話しかけてこないでくれ。
赤ずきんが痺れを切らしてまた言う。
「ねぇっ。ルーパス…!!」
その時、おいらは背後にいる赤ずきんのそのまた後ろに気配を感じた。
ガサガサと森の中で木霊する音。
振り返ったときには遅かった。
黒いコヨーテが茂みから勢いよくジャンプして赤ずきんに乗りかかったのだ。
To be continued...
力尽きた。