Sleep in the black forest with you
ホーホー…
不気味な鳴き声がする。
夜になると出てきて鋭い目つきで闇を見渡す動物。
フクロウ。
フクロウとは肉食の動物で…
っておいらはフクロウのことなんか知らないし。
辺りは真っ暗。
暗い森に関連する言葉、不気味 黒い 危険。
人間にとってはそんなイメージらしいがおいらの場合は違うぞ。
楽じゃないか。活発に動物たちが動き回るから獲物が捕りやすいし。
うんうん。いいじゃないか。
軽いお嬢さんの体をしょって進む。
さっきから会話という会話をしていないが…
というか鼓動はしてるけど一向に話さないし、動かない。
気になる。
気になりすぎて声をかける。
「もう暗いねー。赤ずきんちゃんは女の子だしこうゆう所苦手?」
…反応なし。
なんだよ。人が折角気を使って話題探してんのに。
首を回して後ろを見ると、目を瞑った彼女の顔が見えた。
そういえば少し前から彼女の力がすごい抜けてる。
結論。寝てる。
おいおい人がこんなに頑張っておばあさんの家目指してんのにウトウト眠るって。
休むなよ、おいらちゃんと歩いてるぞ?
もう…なんか損した気分。
一際大きな樹の下に彼女を下ろす。
寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている彼女。
夜になるとあいつが来るんだよなぁ。
「あー疲れた…」
おいらは大きく伸びをしてもう一つの姿を、本当の姿を現した。
こるわ。人間の姿だと。体中が荷物を置いたときのように軽くなる。
彼女の隣に腰を下ろし、手を後ろに組んであくびする。
まだ傷から新しい血の匂いがする。
思わず舌舐めずりをしてしまう。
しようがない。だって狼だもん。
だが今喰ってしまったら今までの苦労が水の泡だ。
自分の頬にパンチを食らわせ、むぅと我慢する。
「旅の〆に喰おう。」
そう自分に言い聞かせて浅い眠りについた。
チュンチュン
夜のフクロウとは別の種類の美味そうな、いや可愛らしい小鳥が歌う朝。
日が昇ってまもなくだがおいらはハッと目を覚まし、赤ずきんの姿を確認する。
よしよし誰にも横取りされていないな。
今日のブレックファーストは何にしよう。
ウサギはすばしっこいけど丸々してて美味い。
でもやっぱり質より量。
ウサギなんて何匹も捕まえられるもんじゃない。
やっぱネズミあたりが丁度いいかな。
こうしておいらの朝食の時間となるのでした。
優しくさえずる小鳥たち。
おはようございます、可愛い小鳥さんたち。
清々しい朝ですね。よく眠れたからかな?
腕を上に上げ、伸びをして周囲を見渡す。
状況把握完了。
今はおばあちゃんの家に行くために森へ来てるんだった。
そしてガイド役のルーパスがいない。
小さな不安が胸に残る。
えっ?どこに行ったの…?
森の真ん中に置いて行かないでよ。
立ち上がってキョロキョロと迷える子羊のように焦る彼女。
そんな彼女の近くの茂みからガサガサと音が聞こえた。
To be continued...