Prologue ~The red hood
赤ずきんちゃんと狼のちょっと可哀想で、でもちゃんとハッピーエンドになるお話。
赤ずきんちゃんという好奇心旺盛な少女とルーパスという可哀想な狼の
恋物語。はじまり。
君がいない森なんて、ある意味があるのだろうか。
いや、美味しい林檎を食べるためには必要かな。うん。
アップルパイ。君の好物だったよね。
でもそれを今作ったとしても笑顔で食べてくれる君はもういない。
時が戻るならば私は迷わず五年前を選ぶだろう。
君と一緒の空気を吸っていた、十二歳の秋。
ねぇ、
会いたいよ。
今すぐ、君に。
*
「ねぇねぇ!お母さ~ん!!見て見て!!」
赤いフードを大事そうに抱える十二歳の少女。
彼女こそがこの物語の主人公。あれ?ヒロインかな?
蒼い空の下にある小さな村、ムーン村。
ネーミングセンスは皆無だが名付けた人と村人は気に入っている。
ムーン村を少し西に進むと大きな森がある。
それが結構危ない森。大きな黒ヒョウやら熊やら
狼だっている。
その森を抜けるとまたまた村がある。ムーン村と同じ面積の小さな村。
スター村。
二つの村は決して仲が悪い訳じゃないが、交流する機会を失ったのだ。
その森のせいで。
そんなムーン村に住んでいる彼女は、
赤ずきんちゃん。
赤いフードを被って以来、彼女は赤ずきんちゃんと呼ばれるようになった。
好奇心旺盛で天然で鈍く、さらりと失礼なことを言ってしまう性格だ。
誰に似たかは明確だ。彼女の父親。
無駄に大きい声も父親譲り。
「あら。どうしたの?その赤い頭巾。」
赤ずきんのお母さんは以外と負けず嫌いで...って
関係ないか。
「おばあちゃんが贈ってきたの!前から頼んでたんだ!可愛いでしょ。」
満足げに鏡で自分の姿をチェックしている。
おまけに髪の毛チェックもしている。
ボサボサなのに気づいたのかお母さんのドレッサーから赤いリボンを二本引っ張り出して、
髪の毛を低いツインテールにし始めた。
「あたし、みんなに見せてくるねっ。」
と言うなりドアを勢いよく開けた。ドアに言葉があったら悲鳴をあげていただろう。
そうして意気揚々と飛び出した彼女はまだ何も知らなかった。
十二歳の秋に報われない初恋をすることを。
To be continued...