第91話:頼み
「あ・れ・は!どういう事なんですか!?」
「こっちが訊きたいわ!いいから落ち着けと言うとるだろうが!」
時間は少し経ち。俺は部屋でもうすっげえ疲れたから速攻で寝ようとしたらこの始末だ。俺が一体何をしたというんだ?
「っていうか、俺にだって何が何だか分からないんだからしょうがないだろ!?」
「むう~。それじゃあ、シエラ姫とはどこで知り合ったんですか?」
「この間のお祭りの時に、暴漢に絡まれているのを助けた時だな。その後、一緒に祭りを同行した位で他には関わりは無かった」
「……それだけですか?」
「なに疑ってんだ。俺が嘘つく訳無いだろ?自分の女に嘘ついてまで守りたい事なんかないよ」
俺が水を煽りながらそう言うと、三人とも顔を真っ赤にしていた。あ、言い忘れてたけどセイバーとカリアさんもいるから。姉さんはもう寝てるらしいけど。
そこに扉をノックしてくる音が聞こえてくる。「どうぞ」と返事をすると、王様と話の渦中の人が現れた。
「ふむ、まだ起きていたか。ちょうど良かった」
「こ、こんばんわ……」
「王様。こんな夜更けに何の御用ですか?俺はいい加減眠りたいんですが?」
「それは我の所為ではないだろう……。ちょっとお主に用事が出来ただけだ。ところで……酒は無いのか?」
「用事……ですか?酒はちょっと待って下さい」
俺は地面に浮いている俺の影に手を伸ばすと、手首までが埋まりセイバーカリアさん、それにシエラ姫が悲鳴を上げた。カリアさんとシエラ姫はまだしも、セイバーまで悲鳴を上げるなよ。
「何時見てもちょっと怖いですよね……」
「そんなこと言うなよ……。あ、あった。これでいいですか?はい、グラス」
「ふむ、礼を言おう。これは……?」
「ジンです。アルコール度数は高めなので、気をつけて飲んで下さいね」
「うむ。……それで用事だが、大会運営委員会にお主宛てに、一般の部へのシード待遇で参加しないかというのが来ているのだが、どうする?」
「……出来るなら、遠慮したいんですが。そりゃ強い人と戦えるんでしょうけど、俺は元々この大会にそれほど興味があった訳ではありませんし」
「その事も言ったのだがな……。『精霊の王を使役し、神話魔法すらも使える方を一般の部に出さないなどあり得ませぬ!せめて考えるだけでも……!』と言われてわな」
「……分かりました。その代わり、俺は好きな武器で行かせてもらいますから。もしかしたら『天剣』を使える機会があるかもしれないし」
「ふむ。まあ、それ位ならなんとかなるだろう。ところでシエラ姫?何か用事があったのでは?」
シエラ姫は恥ずかしそうな顔をしながらも、こちらをじっと見ていた。なんか照れるな。こんな美人の姫様にじっと見つめられると。




