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黒の勇者と白の英雄  作者: あかつきいろ
バトルトーナメント編
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第77話:残虐なる処刑

「あれ?どうかしたんですか?」

「……潰しに行くんだろう?僕に頼みたい事はあるかな、と思ってね」

「……それじゃあ、四人の警護をお願いしようかな。なんだかんだで皆お転婆ですからね。守ってくれる人が必要なんですよ。

でも、今日俺は動かなきゃいけない。俺が傍にはいられないならせめて強い人にお願いしますよ」


「分かった。それじゃ、頑張って」


「もちろん」


 俺は握手を交わした後、髪の色を真っ赤な紅の色に変えて門の所で待っている王様とは暗部の人達の元へ向かった。


 俺の髪の色に少々驚いてはいたが、ただそれだけなんだけど。一応用意しておいたオペラ座の怪人みたいな仮面をつけた。某大佐の様な感じがする。


「変装か?逆に目立つだろう」

「俺の姿を認識できるのは、俺がそこにいる事を分かっている人達だけですよ。そういう風に魔術を使ってますから」

「……便利な代物だな」


「まあ、神話魔術の一つですから。それぐらい出来なきゃ困ります」


「!?」


 俺達は裏町にあるとあるでかい建物を目指して歩き始めた。今回は王の権限の下に動くため、どんな事をしても犯罪にはならないそうだ。


「殺しは可ですか?」

「構わんが……誰を殺す気だ?」


「そりゃ勿論、観客と奴隷商全員を。奴隷商は惨たらしく殺してあげますよ」


「……観客に貴族がいた場合は半殺し程度で我慢しろ」

「十分の八殺しは?」

「……仕方ない。それで手を打とう」

「分かりました。これでも我慢してるんですからね?」


 俺は目的の場所に入ると、そこでは金持ちの商人やらが醜い表情を晒しながら奴隷の子達を見ていた。それだけで俺は切れた。


 冷気の様な殺気を周りにまき散らし、取り敢えず最初に見つけた奴隷商を「黒剣」で全身串刺しにしながら殺した。その身体から流れ出た血を浴びながら笑っていた。


「ククク……ハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!」

「貴様、何者だ!?」


「答える馬鹿がどこにいる?あんたは……貴族か」


「そうだ!私を敵に回して生き残れるとでも」


 その後はバシュッ!という音ともに塞がれた。そして顔を元の原型も分からない程に殴りまくってやった。


「調子乗ってんじゃねえよ。たかだか貴族風情が、この場面で何ができる?

何もできやしない。いいか?俺が今から貴様らにするのは……」


「処刑だよ。残虐なる、な」


 そこからはもう阿鼻叫喚、地獄絵図っていうレベルだった。ほとんどの人間を殺しまくった。もちろん買われた奴隷の子供たちを逃がしながら、な。


 暗部の人間も、王様も俺の虐殺に手を出しはしなかった。否。手を出せなかった、が正解かな?俺が見ていたとしても止められる自信は無い。


 そしてその場にほとんど動く者がいなくなった時、ようやく王様は動き出した。


「……気は済んだか?」

「……スゥ、ハア~。ええ。もう大丈夫です」

「そうか。奴隷の子供たちは全員保護した。今宵の仕事はこれで終了だ」

「分かりました。ちょっと子供達を見てきても?」


「いいが、変装を解け。その姿はちょっと見せられん」


 俺の姿はもう血塗れ。戦場に立ってもこんな事はあるまいと言う位ひどかった。借りた服装に着替えた後、髪を縛っていた髪留めを外して黒色に戻した。


 俺の事をなんとなく雰囲気で覚えていたんだろう。ちょっと怖そうに見られていた。俺が首輪に手を伸ばしそしてスッと撫でると。首輪は脆く砕け散った。


 首輪をはずされた子供と、その近くにいた子供たちはみんな驚いたような顔をしていた。とはいっても、この術は単純に魔力過多で耐えきれずに崩壊しただけだ。


 他の子供たちの首輪も順に崩壊で壊していった。これが俺が魔力で練られた物全てに対応できるように作った術の一つ『崩壊(ブレイク)』。


「これで君たちは自由だ。親元に帰るもよし、王様の力を借りて国の補助施設に行くもよし。好きにしなさい」

「最後は我任せか?」

「何か問題でも?このような子どもたちが出るのは、単にあなたの政治のせいでしょう?」

「……なにもいえん事が歯痒いな」

「それで、どうしたい?」


「あなたといっしょにいたい」


「……」


 一瞬で何も言えなくなった。俺は家というのは城に部屋があるだけだし……。どうすればいいんだ?


「王様、どうしましょう?俺家とか無いんですけど」

「ああ、そういえば異世界組の人間を一か所に固めるという計画があったな。そこに住まわせればいいんじゃないか?」

「今日はどうするんですか?」

「城で泊めればよかろう。部屋は大量にあるしな」

「はあ。それじゃあ、お願いします」


 この後、俺は奴隷だった子達と一緒に風呂に入って体を綺麗にして子供達を寝かせて部屋に戻った。

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