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第67話:似た者親子

 俺達は準備を整え、そして村を出ようとすると――――。


「お待ちください」


「何か御用でしょうか?」

「いえ、我が息子がお世話になったようで。そのお礼参りに」

「そうですか。ご子息の育て方にはもうちょっと気をつけた方がいいですよ?」

「……そういう答え方をするのか。人間風情が」

「こんな所に閉じこもって繁栄なんてあるものか。もうちょっと世界に目を向けた方がいいですよ」

「殺せ」


 おやおや、やたらと短絡的な人だな。しかもこれは何だ?私兵かなんかか?まったく面倒をかけてくれるな。


「風の大精霊『グレイブ・デルフォン』」


 俺の背後には、風の力を宿した女性型の精霊が現れた。そして左腕を薙ぐと、その前方に立っていた全ての者達が吹き飛んだ。


「まだなんかやるのか?」

「大精霊だと……?こんな情報は無かった!」

「黙ってろ。この重力の中でもだえ苦しむがいい。『グラビティ』」


 俺は闇属性の上位派生で重力を上から押し付けた。一瞬昨日考えた二百メートルほどの実験をやってみようかとも考えたが、放っておいた。どうせやったら死ぬし。


「余計な手間かけんじゃねえよ」

「ぐっ!」

「お前らは親子そろってアホなのか?黒龍も倒せなかった奴が俺に勝とう等……笑止千万」

「貴様さえいなければ!」


「黙ってろよ。お前の心もへし折ってやろうか?」


「なんだと!?」

「俺は今日この村を出ていく。晴れの門出にいちゃもんつけてんじゃねえよ」

「貴様……!」

「俺は今すぐにでも貴様を殺せる。だがなぜやらないのか?それを考えろ。俺にとっちゃお前の様なザコは何時でも潰せるからだ」

「この、悪魔が!」

「お前の口上にはもう飽きた。……潰れてろ」


 俺は重力の圧迫を加速させ、意識を刈り取った。アリシアとセイバーは話に華を咲かせていた。二人を呼び、俺達は門の所に向かった。もちろん馬を受けっとて、だ。


 門を出た先にいたのは――――姉さんとカリアさんだった。しかも旅支度をしてる。はて?これはどういう事だ?

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