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第61話:決勝(2)

(くっ!中々技量が高い!)


 侮っていた訳じゃ無いけど、それでも結構予想外だった。ここまで攻撃を受け流されたのは、槍術の神様とやりあって以来だ。あの時はかすりもしなかったけど。


「もっと戦いを楽しみなよ。そんな表情が強張ってちゃ楽しめる物も楽しめないよ?」

「……貴女は嬉しそうですね」

「そりゃあね。踊るのは好きだから。こんなに食らいついてくる人も久しぶりだから、尚更だね」


「でも俺はこのままにはしない」


 強烈な剣戟で剣舞……いや槍舞かな?を中断させた。そして全く使う気は無かった物を起動させた。すると俺の髪が全て白く染まった。眼は紅色のままだけど。


 それと同時に俺の右手と左手の刻んであった『聖痕(スティグマ)』も起動した。今の俺は天界の最上級天使・熾天使(セラフ)の人にも劣らない波動を放っていた。


 修行の途中で、その人達とも闘う機会があった。めちゃくちゃ強くて何とか一撃与えるだけで精いっぱいだったけど。


「さすがは英雄。でも、私もこんな所で負ける気はない」


 会長は何かオーラ的な物を纏っていた。なんだこれ?まさかこれが闘気って奴?


「その顔は知ってる感じだね?これは闘気。知り合いに教えてもらったんだよ」

「修行で何とかなる代物じゃないと思うんですが……?」

「そこはそれ、もうどうでもいいんじゃない?今私はその力を身につけている。それに違いないんだから」

「それもそうですね。白の力をここまで引き出したのは何時ぶりかな?多分手加減できないんで」

「それは楽しいね。私もここまで力を使うのは初めてだから大丈夫だけど」

「それじゃあ」

「ここからは」


「「本気で」」


 俺達は剣と槍をぶつけあった。単純な技量でぶつかり合ったが、白の力と『聖痕』の稼働限界時間が来た所為で結果は敗北。


 その後表彰式を行い、大会はお開きになった。皆に感想を訊いてみると、「とんでもないスケールだった。まるで映画を見てるみたいだった」ってさ。


 あれ以来、俺と啓は生徒会に入る事になったんだ。とはいえ、今日活動しただけだけど。疲れが抜けきって無いのに挑んでくる奴と書いて大変だったよ。まあ、一撃で終わらしたんだけど。

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