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第60話:決勝(1)

「それじゃ、俺らの試合ですか」

「そうだね。というか、よく相手の作ってきた弁当を食べる、なんて言うよね」

「会長はそんな搦め手はしないでしょ?純粋な実力で勝負したいだろうし」

「……まあ、そうなんだけど。その笑顔はちょっと反則じゃ無い?」

「へ?なんか言いました?」


「な、なんでもない!ほら、早く食べちゃって!」


 そんな昼休みを過ごした後、俺達はバトルフィールドに立っていた。


「あ、弁当美味かったです」

「何度も言わなくてもいい!……今は勝負に集中して」

「分かってますよ。ガングニール……じゃ役不足か。それじゃあ、これかな?」


 俺は地面に手を向けると、そこから龍の刻印が刻んである剣を二本創りだした。これが俺が作れる最高の二振り。いや、これでセットなんだけど。


「『双龍刀・白麗』。俺の最高傑作です」

「へえ、そんなに奮発してもらったんなら私も本気を出さない訳にはいかないね」


 会長の胸の中央部分が光り始め、そこから柄が出てきた。そして黄金と白銀、両方を兼ね備えた刀身を備えた槍が現れた。


「これこそ、私の中で発現した私固有の概念武装。『グランシェ二・ヴァルツアー』よ」

「長いですね。名前」

「それは置いといて。この武装の力はね『魔力の無効化』よ。私に魔術は届かない」

「……俺、魔術なんか使いませんよ?」

「え?だってさっきキメラを殺すのに使ったって……」


「あれは神話魔術じゃありません。使えるようにはなりましたが、制御できる自信ないし。あれは、武器固有のスキルを使った物です。人間相手には隙だらけで使えませんし」


「……」


 会長が黙って後ろの観客席を睨んでいた。そこに座っていた皆はそれとなく視線をそらしていた。馬鹿な事したな。訊かれればちゃんと答えたのに。


「……もういいや。それじゃあ、始めよう」

「ええ。それじゃ、開幕一発目って事で」


『白竜天刃』


 俺は刀身に白の力を纏わせて、会長に叩きつけた。これも武器の固有スキル……というよりは、俺の白の力を使った技だ。


 普通に槍で受け流されたけど。それから俺達は剣と槍をぶつけあった。

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