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第57話:初戦

「それではこれより、全校生徒対抗!バトルトーナメントの開幕です!」


 会長のその高らかの宣言に、皆が沸いた。俺はなぜか生徒会サイドにいたけど。とはいえ俺は何もしちゃいないんだが。


「それでは第一試合!」


 後ろの大きな板の下の方に、紙が覆ってあってそれを剥がすと数字が書いてあるっていう仕組みだ。それで最初に入場してきた時に渡された紙に従って戦う仕組みになっているらしい。


 もちろん何位以上とか縛りはあるらしいが、俺達異世界人はそもそもランク10位以内に入る事が出来る。だからあっさりと入れたらしい。


 ちなみに参加しているのは由利さんと、俺。それに啓と巧は半ば強制的に会長に参加させられたらしい。俺は会長に引っ張られてきた。


「ガレア・ゼルム対アキミチ・シラサカ!」


「って初っ端から俺かよ!?」

「頑張って!」

「どうも、ありがとうございます!」


 そんで俺はバトルフィールドのある場所まで移動すると、対面にいたのは――――


「なんだ、あんたか」


 クロを馬鹿にして俺の殺気でガタガタ震えてたあの坊ちゃんだった。憎悪というか憤怒というか、要するに“負”の気配を帯びていた。なんも怖くないけど。


「こんなに早く貴様と戦えるとは思わなかった」

「どうせ負けるんだから一緒でしょ?」

「……殺す!」


 試合開始の合図と同時に、持っていた剣に炎の属性を纏わせてきた。いや、あれは纏わせたというよりも――――


「それ、まさか魔法剣ってやつか?」

「よく知っているな。その通りだ。これは烈火のグランディエルの加護を受けた剣だ」

「ふうん。ま、意外性以外は何もないんだが」


 俺は回し蹴り、しかも踵部分だけで剣の側面部分を叩きへし折った。そのあり得ない光景に観客も剣を持っていた本人も驚いて止まってしまった。


 そのすきを狙い、俺は捻りを加えた蹴りを鳩尾――――では無く腹筋の部分に叩きこんだ。もちろん腹筋を締める暇などなく、フィールドからぶっ飛ばしてこの試合は終了。


 存外あっけない物だと思いながら、俺は待合所に戻ると会長と異世界組の皆が走ってきた。


「どうかしたの?」

「お前、今の技は何なんだよ?」

「何って……。ああ、そういう事。単純だよ。足に風の加護を加えて、最も壊れやすい急所の場所にぶつけただけ。俺は精霊を使役できるからな」

「精霊術……?」

「あ、もう滅びかけなんだっけ?ま、クロはもっと凄い事になってるみたいだけど」

「?それはどういう……?」


「内緒。ほら、皆も準備しときなよ。出番あるでしょ?」


 俺はそう告げた後、飲み物を取りに行った。会長だけは追ってきたけど。どうやら生徒会役員はシード扱いらしい。俺は急になったからシードじゃ無かった、という訳。

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