第55話:昼食
「そんな事があったんですか」
「そっ。まったく面倒な事に巻き込まれた……」
「でも、凄い事ですよ。あの学校で生徒会に入るって結構名誉な事なんですよ?」
「名誉じゃ腹は膨れないってね。ああ、午前中の授業全部さぼっちまったんだよな」
昼休み、俺は皆と一緒に飯食ってたんだよ。この時に紙をもらったんだけどな。
「教室に行ったらお前がいないからビビったぜ」
「どこに行ったのかと思ったら、生徒会室ねえ」
「しかも副会長就任とか」
「どんなんだよ。それでどうせフラグの一、二本位立てるんだろ?」
「そんな簡単に人を好きになる訳無いだろ?」
「甘い。砂糖菓子のように甘い。現実はラブコメより奇なり、だぜ?」
「なんじゃそりゃ……」
そんな風に飯食いながら談笑してたらさ、びっくりしたよ。いきなり生徒会長が来るんだから。
「あら、こんにちは。フェリス様」
「こんにちは。学校では敬語じゃなくていいんですよ?」
「そうですか?それじゃ、遠慮なく」
「……軽いですね。それで、何の御用でしょうか?」
「用が無きゃ来ちゃいけないの?」
「そんな事はありませんけど」
「なあ、ちょっとフラグ立ってる気がするんだが……」
「うん、あれは間違いないと思う。多分、脈ありだね」
男どもがこんな事を言っていたのが聞こえるが気にしない。というか、気にしたら負けだと俺の中の何かが言っている気がする。
「ただ見かけたら来ただけ。ところで授業がどうこうって聞こえたけど。成績悪いの?」
「俺は頭悪いんで。魔術関連の実技とか全然ですよ」
「へえ、結構意外だね。あれだけの体術が使えるんだから魔術も大丈夫かと思ってた」
「それは偏見ってもんですよ。俺は魔術が苦手だから、体術に集中しただけです」
「ふうん。魔力の量は凄いのにね。他の人達にも言える事だけど」
会長が俺達を見回しながらそう言った。どうやら俺達の魔力量を見る事が出来るらしい。クロが言ってた。魔力量を見る事が出来るのは相当な実力者だって。
「なんなら私が教えてあげようか?他の人も一緒に」
「え?いいんですか?」
「別に構わないよ。でも、それはまた放課後にね」
会長がそう言って去った瞬間に、昼休み終了の予礼が鳴り響いた。うわっ!ヤバい!急がないと!
俺達はあわただしく行動し始めた。




