第44話:お礼
「どうかしましたか?」
「あの、父が呼んでいるんですが……」
「長老が?一体どうしたんだろう?まあ、いいです。ついて行きますよ」
そんな訳で俺達はカリアさんの後をついて家まで行った訳なんだが。
「おお、勇者殿!お待ちしておりました」
ちょっとできあがっていた長老がいた。こんな朝っぱらから酒飲むなよ。体に毒だってーの。
「どうしたんですか?一体」
「いえ、我々ではとてもかなわない龍を退治して頂いたばかりか、警備に龍を配備してくださりありがとうございます」
「いえ、それは構わないんですけど……。なんで朝っぱらから酒飲んでるんですか?」
「祝杯、みたいな物だそうです」
「はあ。それで俺への用はそれだけですか?これから図書館みたいな場所に行くんですが……」
「何か本が入用で?」
「いえ、ただ単に精霊術に関する本は置いていないものかと」
「それなら我が家にも置いてありますが……何故精霊術なのですか?」
「それは俺が精霊を使役できるからですが?」
「いえ、あれだけ強力な魔術を使えるあなたが何故精霊術を?と思いまして」
「……別にいいかな」
俺は右手の薬指に嵌めてある指輪を天井に向けて掲げた。すると、指輪から光が溢れた。そしてその光が全部消えきった時、そこにはマクスウェルが立っていた。
「やあ、マクスウェル。ここの空気はどうだい?」
『ふむ。人間の国にいた時よりはマナも豊潤でいいな』
「そりゃよかった。……紹介しましょう。この精霊が俺の契約精霊にして総ての精霊の頂点。始祖です」
「始祖様……。初めて見ました」
「それで、本ってどれですか?……ああ、これか。それじゃあ、お借りしますね」
「ああ、はい。どうぞ……」
「ありがとうございます。それじゃ、行くよ。アリシア、セイバーさん。マクスウェルも」
「あ、私も連れて行って下さい!」
後ろからカリアさんも、追いかけてきた。俺はそれを放置して、昨日の内に見つけておいたおあつらえ向きな広場に向かった。




