第41話:出会い
「ここがエルフの里か……。本当に面倒だな」
結局俺達がエルフの里に着いたのは深夜0時位だった。まあ、それはいい。でも俺達にそびえ立っていたのは白くてとんでもない高さの壁だった。
しょうがないから、ぐるりと一周してみたが扉が見当たらないのですぐ近くに野宿してまた明日挑戦してみようという話になった。
俺は今日も不寝番。それで軽くこの辺の気配を探してみたが、危険な気配はしなかったがその代わりに人……みたいな気配がした。今、そこに向かってる最中だ。
二人が寝てる場所には、特別強力な結界を張ってあるから大丈夫だ。お、そろそろ目的地だな。さてはて、どんな……場所……かな……と。
「なんだこの花の量は。月の光に反応している……?」
「誰ですか?」
いきなり声がしたから、ちょっとびっくりしながらもその声がした方を向くとそこには綺麗な少女がいた。まさにここに生えている花が、映えそうな少女が。白い髪に蒼色の眼をした少女が。しかも彼女の耳は尖っていた。
「お初にお目にかかります。俺はヴァルフェイル王国に召喚された勇者で、名をクロヤ・テルミヤと申します。以後お見知り置きを」
「え、ええ。私はエルフ族の長老の娘でカリアと申します」
「これはご丁寧にどうも。それであなたはこんな夜更けにどうしてこんな場所に?確かにここの花々は美しいですけど、夜更けに来るべき場所では無いでしょう?」
「この花は月見草。月の光にのみ反応する花です。夜にしかこれません。それに私はもうすぐ贄として龍に捧げられてしまうのです」
「……龍に?なるほどね。はぐれの仕業か……」
「……どうかしましたか?というかあなたこそ、どうしてこのような場所に?」
「ちょっと気配がしましたので来ただけです。俺は本当はエルフの里を見に来たんですが、壁の所為では入れなかったんです」
事実、あの壁からはとてつもない量の魔力を感じられた。俺が無理をすれば破壊できるだろうけど、そんな事をしてまでエルフ達を敵に回したくはない。
「それでしたら、私がお招きしましょうか?」
「え?いいんですか?」
「ええ。父に理由を話せば、分かってくれると思います」
「ありがとうございます。……さて、と。それじゃあ、里までお送りいたします」
「え?いえ、大丈夫ですよ。これ位なら慣れていますし」
「変な遠慮はしなくてもいいんですよ。俺に任せて下さい」
その夜は彼女を里の近くまで送った。話によると、あの壁は里の者、或いは里の者が決めた者だけは入る事が出来るらしい。目の前であっさりと壁を通り抜けられた時はさすがにビビったけど。




