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第40話:別れ

 あれから数日後。騎士団をしごき上げ、魔術の談義をしたりと楽しい時間を過ごしたが俺は旅の続きに出ると皇帝陛下に言った。あっさりと了承され、俺は皆の見送りをしていた。


「それじゃあな。いつかは分からんが、また会おう」

「おう。お前も元気でな」

「ああ。……あ、これをアキに渡しておいてくれ」

「いいけど……なんだ?この紙は」

「それに魔力を流せば、その魔術は発動する。そう伝えといてくれ。

彼女達の護衛、頼んだぞ」

「「はい!お任せ下さい!」」


 いい返事だな。皆とそれぞれ握手した。だけど最後に握手した会長がなかなか手を離してくれない。


「あの……由利さん?」

「何かしら?」

「そろそろ手を離してくれませんか?」

「いや」

「何故?」

「この手を離してしまえば、貴方はいってしまうから。せっかくここまで来たのにまた別れるなんて嫌よ」

「……変わりましたね。あなたも」

「誰かさんの所為でね。……うーん、それならこれで手打ちにしましょう」


 何をするのかと思えば、いきなり俺の頬にキスしてきた。驚きの余り、誰も声を出せなかった。もちろん、俺も。出来た事と言えば、キスされた頬を手で押さえる位だった。


「それじゃあ、また会いましょう」


 そう告げると、颯爽と去っていった。まったく、本当に風の様な人だな。そう思いながら、俺はその場を後にした。


「むう」

「なんだよアリシア。そんなにむくれちゃってさ」

「それを訊くのは少々酷なのでは?」

「そういうセイバーさんもむくれちゃって。本当にかわいいなあ。二人とも」


 俺が頬を撫でて可愛がっていると、二人とも幸せそうな表情を浮かべていた。これでいいかな。俺はきりのいい所で止めて馬に鞍とかの準備をした。


「それじゃあ、二人とも準備は良いかい?」

「私はいつでも」

「同じく」

「それじゃあ、行くとしようか。最初の目的地はエルフの里だ」


 俺はそう告げると、颯爽と馬を走らせた。今回は大体一日ぐらいの距離だから、野宿しなくても大丈夫だと思う。……多分。

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