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第39話:決闘

 俺達がパーティ会場に戻ってくると、ちょっとしたどよめきはあったものの何事もなかった。


「ただ今戻ってまいりました。皇帝陛下」

「おお、どうでした?マグスの研究施設は」

「面白い、の一言ですね」


「おい、テメエ!」


 俺が何かと思って振りかえると、さっき先輩にナンパしてた奴らの最初に気絶させた奴だった。


「一体なんの御用ですか?」

「テメエ、よくもこの俺に攻撃なんぞしやがったな!」

「ああ、その事ですか。貴方が悪いのでしょう?女性にしつこく迫るのですから」

「あんまり調子に乗るな!」


 胸ポケットに入っていた花を俺に投げつけてきた。これはあれか?決闘とかそういう類の物か?


「この決闘、貴様も男なら受けるだろうな?」

「いいでしょう。その天狗の鼻をへし折って差し上げましょう」


 そして場所は移り、決闘用のドームみたいな場所。一応夜だから焚き火が焚いてあった。影がどこまでも伸びて、夜に連なる。


「それでは、両者準備は良いですね?」

「何時でも構いません」

「俺もだ」


「それでは、開始!」


 相手のチャライ男は外見以上に強かった。剣筋はしっかりしてるし、放ってくる魔術も中級ぐらいのレベルだ。でも、ぶっちゃけただそれだけだ。


「おらおら!どうした?天狗の鼻をへし折るんじゃなかったのか!?」

「もういいかな」

「何!?」


「夜は我が領域。黒と闇は我が眷属なり」


 飛んできた炎を、影から飛び出した黒い物が貫き破壊した。そして幾重にも張り巡らされた茨の様な影が全体を支配し始めた。


「どうしました?まさかこの程度で驚いている訳じゃありませんよね?」

「この力は一体何なんだ!?」

「普通は説明しないんでしょうが……。いいでしょう。これこそ我が『黒使い』の力。俺の力は本来、夜にこそその真価を発揮する。それの力を使っているだけです」

「影を利用している、だと……?それならば、これでどうだ!」


 手から光を放っていた。やれやれ、この人は分かってないみたいだな。さらに影の力は強固になった。


「光ある所に闇は存在する。闇ある所には光が存在する。それは両極端であるが故に、片方が強くなればもう片方も強くなるんですよ?……さあ、フィナーレだ!」

「くっ!こんなことが!」

「貴方の敗因は相手を侮った事だ。――――『黒天演武』」


 俺は掌に『黒』の力を集中させ、それを掌底にして体の各部に叩きこんだ。額、顎、鳩尾、各関節部分。まあ、最初の二発ですでに意識は半分以上刈り取ってたんだけど。

 そこで試合は終了になった。やれやれ、思っていた通りあんまり強くなかったな。

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