第37話:研究者
「ここは……?」
「私の研究施設だよ。普段はここに篭って使い魔達に世界の情報を集めさせてるんだ」
「つまりは引きこもり、と」
「うるさいな!別に良いじゃないか!人様に迷惑をかけてる訳じゃないんだからさ!」
「そう怒るな」
「誰の所為で怒ってると思ってんのさ!?」
いやあ、面白いな。ここまで行くと逆に清清しい位だ。男性陣は魔術の本などを読みふけっていた。といっても初歩の初歩、基本が書き連ねてあるだけの本だが。
女性陣は、フラスコとかその辺に置いてある詳細不明の代物とかを眺めていた。まあ、何も考えなければ不思議な博物館気分で楽しめるだろうと思っていたとき、それを見つけた。
「ん?何だ?この紙の束は。えーと?……『神話魔術の候補』」
「ああ、それ今度僕が発表するレポートなんだ。といっても僕には発動できない物とか多い所為で、没になりそうなんだけど」
「ああ、マグスは魔術の研究者なんだ」
「まあね。これでもいろいろと大変なんだから」
まあ、どれもこれも魔力の消費量は多い割りに汎用性には乏しいものばかりだからな。これは没になる気がするが……。うん?
「なあ、ここには実験用の施設ってあるのか?」
「そりゃあるけど?」
「そこに案内してくれないか?ちょっと試したいことがある」
「よく分からないけど……いいよ。付いてきて」
「ありがと。櫂と啓はどうする?」
「勿論付いて行くさ。こんな面白そうな事に付き合わない訳が無い」
「俺も右に同じだ」
「わかった。それじゃあ、俺たちはちょっと出るけどすぐに戻ってくるから。ここで待っててくれ」
「「「「はーい」」」」
女性陣の元気な声を聞いた後、俺たちは部屋を出てマグスの後を付いていった。しっかし、広いなここは。いったいどこにこんな場所があるんだ?




