第32話:バトル!
「お前らか……。まあいいだろう。異世界人と闘うのは初めてだからな」
「お前も異世界人だろうが」
「まあ、な。それでもアキとは戦ってないし。ほらほら、早く来いよ」
「それじゃあ、遠慮なく!」
「爆ぜろ!」
指パッチンで俺に炎を飛ばしてきた。お前は某大佐かっての。某大佐とは違い、中指と親指に魔法陣を出して、それを人差し指の魔法陣で飛ばしてるらしい。そいつの名前は明石啓。
それを回避した先には、一人の女性が細剣を持って突っ込んできた。もちろん木刀だけど。それを峰の部分で受け流した。この人は俺が通ってた高校の会長で、蓮杖由利さん。
「お久しぶりです、会長」
「もう止めたけどね。だから今の私はどこにでもいる高校三年生よ」
「普通高校三年はここまで強くありません。いくらフェンシング部だったとはいえ、強すぎでしょ?」
「一応部長で全国大会優勝者よ?」
「そう言う問題じゃないんだけど……。おっと」
「ちょこまかと!いい加減当たれ!」
「無理。だって俺熱いの嫌いだし」
「啓!あれをやるぞ!」
「あれか!分かった!頼んだぞ、タク!」
返事をした奴は、櫂巧。何をするかと思えば手を合わせて、地面に叩きつけた。だからお前らは、ハ〇レンの見過ぎだ!
会長が下がったと思えば、窯状に壁が出てきた。まさか、これは!
「蒸し焼きだ!喰らえ、輝宮!」
「ヴリトラ!」
「遅い!」
特大の炎が飛んでいった。その衝撃で壁が崩壊するほどに。
「ちょっと、明石君?やりすぎでしょ!?」
「あ……しまった。熱くなりすぎた」
「まさか……死んでないよな?」
「死ぬわけないじゃん。あの程度じゃ、さ」
俺はあの一瞬でヴリトラを召喚して、一瞬で「黒竜外装」を使った。じゃなきゃ、さしもの俺も魔術を使ってたし。
「ま、いいか。これで試験は終了。お疲れさん」
「だ、大丈夫なのか?」
「竜神の硬さ、嘗めるなよ?平気だって」
「それならいいけど……」
「俺はちょっと用事があるから。食事なら先に行っといて」
「オーライ。それじゃあ、また後でな」
そう言って三人は、他の騎士団の人達と一緒に歩いて行った。さて、俺は俺で試してみるとするか。




