第31話:見学
俺はじっと端っこで騎士たちの修行風景を見ていた。まあ、その中には俺の知り合いも混ざっていたんだが。
はっきり言って、生温すぎる。いや、まあ俺のやってた修行がきつすぎただけなんだろうけどな?それでも、はっきり言って俺からすればおままごとレベルだ。
「どうですかな?勇者殿。我が騎士団のレベルは?」
「騎士団長……でしたっけ?そうですね。甘すぎですね。どうやったらこんな甘くなるんだ、って言うミルクぐらい甘いです」
「……そこまで言いますか?」
「言います。ちょっと一組五、六人のパーティーを組んで下さい。よく分かりますから」
「……分かりました」
はっきり言って騎士団長は不機嫌そうだったが仕方がない。まあ、そりゃな?俺の相手は『剣神』と神様だったからさ。それでも、これはそん所そこらの魔物をやっと倒せる、ってレベルだぞ?
「それじゃあ、小隊は組めましたね?今から俺に挑んできて下さい」
「は?それはどういう……」
「ぶっちゃけ、あんた達は弱い。本当の実戦という物を、俺が教えてやる。だからとっとと俺に向かってこい」
全員がむかっとした顔、というか気配を纏った。これでいい。少なくとも本気で向かってこようとするだろう。
まず一班が俺に向かってきた。試合開始の合図など無い。だから、これは当たり前の事だ。にしても、動きが遅い。俺は殺気を全開にして男達に叩きつけた。
それで足がガタガタと揺れていた。恐怖からの反応だろう。まあ、これはここら辺の魔物ならショック死するレベルだからな。
「ほらほら、どうした?俺に認めさせてやる、ぐらいの覚悟で来たんじゃないのか?この程度か。は、まあ分かりきっていた事だからな。しょうがねえよ」
俺は走って面食らくって立ち止まってる奴らの手元と肩に集中して、木刀を叩きつけた。衝撃によって、剣から手を離した。
「どうする?他の奴らも俺に挑んでみるか?俺に挑むなら、少なくとも巨大鳥以上の相手を相手取ると思えよ?」
巨大鳥。それはこの近辺にいる最大の規模を誇る鳥の事だ。その実力は緋龍と同等か、それ以上。緋龍は、というか龍はあらゆる生物の中で最も強い生物だ。
緋龍は龍種の中でも中堅クラス。それは、俺に龍すらも殺せる力があるという証明。ある一班を除き、他の奴らは挑むのを止めた。
それで俺に挑んできた物好きは――――俺の世界から来た奴らだった。




