第22話:出迎え
まあ、そんな訳で翌日。俺達は神殿まで来ていた。ちなみにここと向こうの扉を繋ぐのは、フェリスちゃんってアリシアと同じぐらいの実力を持つ妹さんらしい。
「これが王国の誇る神殿かあ。綺麗だね」
「そうですね。お兄様。それにしても宜しいんですか?私達のようなよそ者がついて来ても」
「うん?別に構わないだろう。この神殿で重要なのは扉の技術だけなんだから」
「ええ。それに監視術では見られないようになっていますから、神殿の外で待って頂ければ大丈夫ですよ」
「そうですか。それにしてもここは魔獣の匂いが凄いですね。鼻が曲がりそうです」
「そういえば、君たち二人は魔族で言うどの種族なんだ?」
「私は吸血鬼です。お兄様は、魔術に長けた魔人です。私は魔術よりも変化術などが得意なんです」
「へえ、成程ね。お、そろそろ来るみたいだな」
空中に魔法陣が展開され始めていた。そしてそこから白い光が一直線に落ちてきた。俺達は神殿の中へと歩いて行った。
「久しぶり……ってほどでもないか。元気そうだな、アキ」
「え?……まさかお前、クロか?」
「他に誰がいるんだよ。まあ、いいか。それじゃあ、説明は終わったかい?フェリスちゃん」
「……はい。話半分で訊いていらっしゃらないご様子ですけど」
「アキ、昔からいつも言っているだろう?人の話はちゃんと訊けと」
「いや、訊いたけどわかなかったんだって。俺が頭が悪いのは知ってるだろ?」
「知ってるけど……。まあいいや。とりあえず、馬車に戻ろう」
「へ?どこに行くんだ?」
俺はアキの疑問を無視して、そのまま馬車のほうに向かって歩いて行った。フェリスちゃんは俺達に走って追いつこうとしたけど、途中で躓いてしまっていた。
危うく転びかけた所で、アキが手を掴んで体を立て直した。こういう気遣いはよく出来る奴なんだよな。
「大丈夫ですか?」
「……はい、大丈夫です」
「微笑ましい風景だな。ほらほら、そこのお二人さん。速く馬車に乗ってくれ」
「わかったよ!……それじゃあ、行きましょうか」
「はい!」
あらら、これまた可愛らしい笑顔だこって。これは……落ちたのか?そう思いながら、二人を馬車に乗せた後、俺達も乗って神殿から出発した。魔王一行は別の馬車に乗っている。




