第21話:旅路の話
「それで、君は明日魔王領に行くのかい?」
「そうだ。といっても徒歩だからな。ゆったりといくさ」
「そうか。都市に着いた時は、城を訪ねてくれ」
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
俺とアリシアは部屋に戻ったあと、魔王殿やその妹君(義理みたいだけど)達と話していた。
「それで、魔王領に行ってどうするのだ?」
「人間界で言う、魔族の里を周ってみようと思っている」
「そうか。オーガの里には気をつけろ」
「……何故?」
「あの里のみが、唯一魔王に従わないからだ」
「へえ。反抗的ってだけですか?」
「いや、ただ単純に戦闘に快楽を見いだす種族だからな。挑んでくるだろう。あと、魔獣も気をつけろ。人間界とは比べ物にならない強さだからな」
「どう頑張っても龍より強いって事は無いでしょう?なら大丈夫ですよ。それに今の俺はこれもあるし」
俺は右腕を持ち上げ、袖をまくった。そこには刻印が刻まれていた。
昨日の夜、神様から届いた『聖痕』だ。神様が俺がこの世界に渡るにあたって、封印していたのを解除するのを忘れていたらしい。
この刻印は、聖属性や他の属性の力を一時的に活性化させ身に纏う事すらも可能とする物だ。それにさっき俺のギルドカードを見た時に、新しい称号が書いてあった。現在のギルドカードはこんな感じ。
名前クロヤ・テルミヤ 年齢16歳 性別 男
ギルドランク F
スキルレベル 剣術85 魔術100 拳闘術78 弓術87 銃術61 観察眼91
特殊スキル『魔術作成』・『過去視』。『未来視』会得
称号 勇者 異世界からの来訪者 神に認められた者 元魔王 聖魔使い 黒使い 聖騎士王を倒せし者 聖痕を刻まれし者 未来と過去を見る者 賢者
取り敢えずこんな感じだった。より俺の化物具合が増えただけだったけど。
「これは圧倒的な量の称号だな。普通の人はこんな数の称号は持っていないぞ?」
「うるさいな。俺だって気にしてるんだから言うな。あ、そういえばアリシア。言い忘れてたんだけどさ」
「はい?何でしょうか?」
「明日の朝、『英雄』を送るから迎えをやってほしいってさ。旅に出るのは、迎えに行ってからだから」
「「「「ええー!?」」」
魔王とその妹君、それにアリシアの驚きの声が響き渡った。
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