第20話:婚約
「はいはい、どうかしたの?」
「それよりも、お客様ですか?それならまた後でもいいですけど……」
「俺達は別に構いませんよ。なんなら外に出ますけど?」
「いや、ここにいてくれ。俺達はちょっと行くけど、くつろいでてくれ」
俺はアリシアを連れて、城壁の所まで着た後に『黒翼』を展開して城の屋上にまで飛んだ。アリシアは驚いたような顔をしていたけど。
「それで、話って?」
「えーと、ですね」
「話しにくいようなら、俺の話を先にしてもいいかな?」
「え?ええ、どうぞ」
「俺は明日、この城を出て旅に出ようと思うんだ」
「!?」
驚いた顔をしていた。ま、そりゃ当然か。
「俺は今日依頼を終えた後、盗賊を見た。あんな物が平然と存在する世界。俺は城にとどまって、世界が見えない人間にはなりたくない」
「だから、旅に出るんですか?」
「そう。でも、ただそんな事を言いたいんじゃない」
「?」
「その俺の旅について来てくれないか?」
「え……?いいんですか?」
「いいも何もないよ。俺にとって、この世界で大事なのは君だけだ。この世界で唯一の、俺の家族。それにこれを言うのは卑怯なのかもしれないけど、俺は言う。俺は――――君が好きだ」
「!?」
「願えるのなら、俺は君と共に生きたいんだ。返事は明日の朝まででかまわない」
「いえ、ここでお答えします。私も、共に行かせて下さい。そして、私の願いを叶えて下さい」
「いいよ。なんだい?」
「私と婚約して下さい」
さすがにこれには驚いたけど、それでも俺はためらいもなく答えた。
「いいよ。その願い、叶えましょう」
そして俺は、アリシアの唇を奪った。その時のアリシアは恍惚とした表情を浮かべていた。




