第1話:そして少年は告げられる(1)
俺は昭道と学校に帰る途中だった。俺達は高校一年で学校にも慣れて、面白くも無い学校生活を送っていた。
「クロ?訊いてんのか?」
「ああ悪い。それで何だって?」
「だからさ、今日の数学のさ……」
さっきから訊かされているのは、おもに昭道の愚痴だった。成績が良くないから、昭道は大体テスト前に俺に頼ってくる。俺は授業だけでしっかりカバーできるので、自学実習とかほざく大人は黙れと思っているほどだ。
『そこの君、ちょっと良いかな?』
「何か用か?神様」
俺の視線の先にいるのは、金髪の外人さん。これだけならまだありえない事じゃない。でも神様はさっきから空中を浮いているんだ。
会って喋るようになって以来、俺はこの人を神様と呼びこの人は――――。
『まあまあ、良いじゃないか。勇者の卵君は忙しい訳じゃないでしょ?』
「そりゃそうだけど。でも、それとこれとは――――」
関係がない。と言おうとしたがその言葉を言う前に、神様に言われてしまったのだ。何をかって?もちろん、異世界移住宣告をさ。
『日常が楽しくないと思っている。そんな君には異世界への片道切符を上げるけど、どうする?』