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第16話:決着

「それがあなたの奥の手ですか……」

「そうだよ?いやホントはこれよりもうひと段階下のを使うつもりだったんだけど、どうも反応しないようだからさ。サービスって事でね」

「それは有難いことですが……剣は持たないのですか?」

「こんな剣、今の俺が持ったら粉々に砕けるっちゅーの。ま、拳闘ならぎりぎり俺の筋力だけを使う事が出来るがな」

「それは……ただ鎧を着たのと変わらないのでは?」

「そうだよ?でも一言だけ言っておく」


「君が相手取るのは、竜すらも従える者だという事を、忘れるな」


 俺はさっきから何となく感じている俺を観察する眼と、セイバーさんの両方に告げた。そして俺は前方に向けて一気に魔力を伴った掌底を放った。


「覇竜・轟牙」


 地面がすり鉢状に削られていった。セイバーはこれは迎え撃つ物ではないと一気に判断したらしく、回避した。

 無論、そんなことぐらい読めている。俺は下半身だけは竜の筋力を使い、疾走した。あまりにも速過ぎて、分身すらもできていたらしい。

 俺はセイバーの顎先に向けて一気にアッパーを放った。そして空中の結構な高さまで、吹き飛ばして竜の力を使い飛翔した。

 そしてそこからは無限にラッシュ!二十発ぐらい殴った後に、一気に地面に向かって蹴りつけた。すんでの所で、ランサーにキャッチされていた。


「これで試合は終了、かな?」

「うん、そうだね。勝者、クロヤ・テルミヤ!」


 歓声は……さすがに上がらなかった。ま、当然だなと思いつつ俺はセイバーさんの近くまで歩いた。無論ランサーは警戒していたが。


「その傷を癒し、この者に今一度の力を『ヒール』」


 癒しの光に呑まれ、セイバーの傷は全て癒された。もちろん意識は失ったままだったが。俺はそれだけを確認すると、闘技場を出ていった。

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