第142話:帰宅
都市に向かっていくと、そこで篝火が大量に焚かれていた。緊急事態だからな。まあ仕方のない事ではあるけどな。
ふむ……どうしようかな。といっても、ここで転移術なんて使えないしな。あの紙がないと俺は術を使えないからな。
「はてさてどうしたものかな……。うーん……あ、そういえば」
影を使えば転移術もどきが使えるんじゃね?影は世界中どこにでもつながってるしな。あれ?そう考えると俺の旅って結構時間を無駄にしてるんじゃね?
「よし、駄目で元々だしやってみるか」
早速影で身を包んでみた。第三者視点から見れば、俺の姿はただの真っ黒い人が他の何かってだけなんだけどな。
「できるか……?『転移』」
俺が家の影をイメージしてみると、飛ぶことはできた。できたんだが……。
「何故こうなる?」
何の影響かはわからないが、転移したとたんに木に激突していた。頭が痛い……。どうして転移した直後に勢い余って木に激突、なんて漫画みたいなことが起こるんだ?
「まあいいや。取りあえず家の中に入るとするか」
家の中に入ってみると心配そうな表情を浮かべているみんながいた。秋はさっきから壁の端と端をいったり来たりしているし、啓は立ったり座ったりしている。
「何してんの?お前らは」
「「「クロッ!」」」
「ただいま。大丈夫だったか?」
俺がそうにこやかに言うと次の瞬間には――――




