第128話:王の力
「……ここは?」
俺が眼を覚ますと、そこには天井が見えた。確か俺は、黄金弧を殺した奴と闘ってそんで時間切れで負けて……そして……。
「父さん!?」
「うるさいぞ。病人が初っ端からアクセル全開になってんじゃねえ」
「貴方は、誰なんだ?」
「ま、顔だけじゃ混乱するだろうな。俺の事は一応ラグナエルと呼んでくれ。俺はお前の親父であって親父じゃないんだから」
「……どういう意味だよ?」
「そのまんまさ。ま、今は俺よりも重要な人達と挨拶をすませるべきだと思うが?」
父さん――――ラグナエルは、扉を開け放った。そこからはアリシア達が出てきた。なんでそんな所で訊き耳たててるの?
「く、クロ!身体は、身体は大丈夫なんですか!?」
「え?そういえば……」
「礼ならガブリエルに言えよ。お前の身体の治療をしたのはあいつなんだから。お前をぼろぼろにした奴ならもうこの世界にはいないぞ。俺が殺したからな」
「そう、か……。って、あの黄金弧の子供は!?まさか放ってきた訳じゃないよね!?」
「当たり前だ。俺の息子と言える存在が『王の力』を使ってまで守った子供だぞ?ちゃんと連れてきたわ。今頃、クリスちゃんと遊んでんじゃないか?」
「『王の力』って何?」
「はあ!?」
なんかラグナエルが頭を抱え始めたんだけど。『王の力』ってひょっとして『覇王』の力の事か?でも、そんなこと教えてもらってないし……。
「あいつは本当に何してんだ。『魔王』の力の封印はずさんだし、『王の力』の事も教えてないし……。何考えてんだ!?」
「それで何なんだ?その力は」
「……教えてやってもいいけど、取り敢えずその状態を何とかしろ。目のやり場に困るから」
「ん?」
……なんか皆服装が荒れてる。ラグナエルなんかもう窓の外に視線を向けて「我関せず」みたいな雰囲気になってるし。
「とりあえず、皆出ていってくれ。話が終わったらまた呼ぶから」
「「「……わかりました」」」
不承不精という感じだったが、皆服装を元に戻して出ていってくれた。ラグナエルも皆がいなくなると視線をこっちに向けた。
「さて『王の力』だったな。こいつは通称オーバーロードと呼ばれている」
「オーバーロード?」
「そう。その力の該当は神王、覇王、冥王。そしてもう一人の王だ。名前は伏せさせてもらうがな。なに、生きていればその内分かる」
「適当だなぁ……」
「ほっとけ。もちろん全ての王には特色がある。神王は一言でいえば『創生』。俺こと冥王は『死と生』だな。俺の能力は死んだ者の身体を一度復活させ、俺の魔力供給が続く限り、行動させる事が出来るってことだ」
「それ、チートじゃない?」
死んだ者を再生させて自分の魔力供給が続く限り行動させる事が出来るって、要するに相手は不死者だよな?
そんな相手にどうやったら勝てるって言うんだ?
「おいおい、神王の方がさらにチートだぞ?なんせあいつは無限に命を創りだす事が出来るんだからな。相手がどんな物であっても即座にその弱点を突く。
俺の能力は遺体が残っているならそいつしか蘇らないし、それにあいつは魔力供給がいらないけど俺は結構魔力を食われるんだぞ?
って、まあそんな事はどうでもよくて。お前の能力は生きとし生ける者全てを統べる力だ。要するに、生きている者でお前に逆らえる奴は存在しないんだよ。
俺や神王の様な異能者、それに神と呼ばれる者を除けばな。もう一人の力は全ての力を束ねる事。そいつを心から信頼する奴らの力を束ねるんだよ」
「それはそれで面倒だな。生きとし生ける者って事はアンデッドとかには関係ないんだよな?」
「あれはいわゆるゾンビだからな。まあ、王の力の説明に関してはこんな物だ。後、お前の封印を強化しておいた。これで新月の夜になっても『魔王』の力が暴れる事は無い」
「……本当か?」
「こんな事じゃ嘘はつかねえよ。さて、表に出な。お前の『王の力』の本領、見極めてやろう」
「上等だ!」
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