表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/158

第114話:説教

 家に戻ってみると、いきなり中庭から爆音が響いてきた。アリシアと顔を見合わせてから、急いで家に入っていくとクリスに事前に刻んでおいた『聖痕』が起動していた。


「おいおい!一体何があった!?」

「あ、クロ。お帰り。うーん、何があったって言われると……」

「とっとと説明しろ。厄介事に発展する前に!」


 そこから話を訊くと、クリスの『聖痕』がちょっとした誤作動を起こしたらしい。それで対処の仕方が分からなかったので慌てていたらさっきの爆音が出た、らしい。


「クリス」

「……」

「俺はお前に『聖痕』を刻む前に言ったよな?『俺が目の前にいる時しか発動させるな』って」

「……うん」

「分かってたんだな。それじゃあ、なんで勝手に動かした?お前の『聖痕』はまだ未完成。途中なんだ。そりゃ誤作動もする」

「……なんで?」

「ん?」


「どうしてそんな事を言うの?パパも私をいらないって言うの?」


「そんな訳無いだろう?俺はクリスに、約束を守る娘になってほしいんだ。それに、まだ『聖痕』はお前に定着しきっていない。下手をすれば、暴走して終わりだ」

「……うん」

「お前には、お前の人生がある。その主役はお前なんだ。俺じゃない。だからこそ、お前は自分を律しなければならない」

「……よく分からない」


「今はそれでいい。ただ力を振るうのならば、意志と力が揃っていなければならない。それだけは覚えていてくれ」


「うん……。本当に私はここにいていいの?」

「そんな当たり前な事を訊くな。お前は俺の娘。それでいいんだ」


 今更だけど、まさかこの歳で娘を持つ事になるとはな。本当に世の中、何が起こるのか分からない物だな。俺はクリスを抱きしめた。


 そしたらクリスは泣き始めた。おいおい、なんで泣き始めるんだよ?


「ご、ごめんな、さい。でも、私……」

「泣きたいなら泣けばいい。俺達は、お前を嫌ったりなんかしないから。安心して泣きなさい」

「う、うううう」


 まったく、一日で二回も泣くなんて……。本当にクリスは泣き虫だな。――――とは言えないだろう。この子もちゃんと分かっているんだろうし。


 ま、これからこういう事が無くなるまでいかなくても、少なくなればそれでいいさ。この時の俺は楽観的に考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ