第3章 外
そうこうしている内に、3人目の呻き声が聞こえた。
リリアとバティストは、男に視線を向けた。
亜麻色の、サラリとした長めの髪が、汗で首に張り付く。
「ここは……?」
リリアは、はぁ…。とため息をついた。
そして目頭に手を当てた。
「こいつも覚えてないのか……」
男が振り返った。その顔には?マークが浮かんでいる。
バティストは落胆し、リリアは失望した。
「やっぱり……。ところで、お前の名前は?私はリリアだ」
さっき学んだ、というか、思い出したことを踏まえて、にリリアは聞いた。
男は少し考えてから、
「俺は……ルイス、だと思う」
ルイスは自信なさげに言う。
「皆曖昧なんだよなぁ…」
バティストは、俺たちもそうなんだ、と付け足した。
「ところで、ここはどこだと思う……?」
リリアが尋ねた。
「さあ…。少なくとも、俺等の知ってるところじゃあなさそうだな」
ルイスが言い、バティストが同意するように頷いた。
*
『動けるか?』
とルイスが言ったのは、ほんの十分前の事。
そろそろ暗くなってきて、視界は尚悪い。
リリア達は、ベッドから抜け出して、木でできた扉を開き、
外に出た。と、外では何やら準備が行われていた。
一人がリリア達に気づくと、にこにこしながらこちらに近寄ってきた。
「お目覚めになりましたか?」
女が恭しく頭を下げた。顔はにこにこしたままで。
「あ……あの、ここは、どこでしょうか?」
「ここは、フローレンスですよ」
リリアの顔に、?マークがいくつも浮かんだ。
「フローレン……ス?」
そんな名前聞いた事がない。リリア達は、絶望した。