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第六部




 フレイアはライトリークを馬鹿馬鹿と罵ると、少し満足げに頷く。


「うん、それでこそ勇者だ」


「意味がわからん」


反して彼は、不服そうにフレイアを見つめる。

そして彼の中に疑問が浮かんだ。


―――こんな魔王がいて、大丈夫なのか?


もちろん他者からすれば、こんなのが勇者で大丈夫なのか、という疑問が浮かぶわけだが、あいにく彼にはそれを知る由も無い。

それを幸運ととるかどうかは決めがたいことだ。


ライトリークは妖艶な笑みを浮かべる一人の華奢な少女を改めて見据える。


「で、お前の目的はなんなんだ?」


「ん?」


彼の発した言葉に、彼女は何のことだ? とでも言いたそうな表情をする。


「目的に俺の力が必要だから、俺と話し合いなんて言い出したんだろう」


「あ……あぁ、そうだった。話から脱線していて、すっかり忘れていたよ」


そういって、小さく笑むフレイア。

ライトリークはそんな彼女を見据え、切り出すのを待っていた。


ここで彼が言葉を発し、話をややこしい方向へと導いてしまっては、また罵られることが目に見えているからであろう。

それを知ってか知らずか、彼女は再び小さく笑むと、すぐに真剣そうな顔つきになった。


「率直に言おう」


少しの間をおいて、彼女は言葉を続ようとする。

その少しの間が、ライトリークには何十秒という長い時間にも感じた。


ゴクリと生唾を飲み込む。

そして、彼女の口が開く。



「―――私と手を組んで、世界を滅ぼして欲しい」



「………………はぁっ!?」


ライトリークは奇妙な声をあげた。あまりにも予想外すぎる言葉だった。

もちろん彼に、フレイアの目的を予想付けるヒントはほとんど無かったに等しいが、それにしてもぶったまげた話だった。



「世界を、滅亡……?」


「あぁ」


「……それがお前の企みなら、俺はお前を倒さなければならない」


彼は勇者。

人の生を守るために仲間を経て旅をし―――最終的には一人であったが―――魔王の城へと足を運んだ勇敢なる若者。


人の生を守るために活動してきた彼が、世界を滅ぼすなどできるわけが無い。

むしろ世界を滅ぼそうとするものがいれば、その元凶を壊してこそ勇者。


戦う意思はないと言いながら、自分の前で世界を滅ぼすなどと言い放った魔王に、怒りがこみ上げる。

奴は俺を騙したんだ、と。


彼は真直ぐに彼女をにらみながら、腰に携えている剣に手をかけた。



 一方、勇者を怒気させた魔王は、予想通りとでも言いたそうな、涼しげな表情で今にも剣を抜きそうな彼を制止する。


「まぁ待て。

話を最後まで聞かんか」


「なんだ。言い訳なら聞かないぞ!」


「言い訳ではない。言い分を聞けといっているのだ」


どちらも似たようなものなのだが。


「……そうか、それなら聞いてやろう」


あっさりライトリークは頷いた。

彼が頷くのを分かって言ったのか否かは、定かではない。

しかしフレイアは満足げに微笑むと、先ほど言おうとしていたであろう言葉を続けた。


「私はな、何もこの世界の生物ごと全てを滅ぼそうと考えているわけではないんだ」


「?」


意味が分からない、という表情をするライトリーク。

その顔からは、『世界滅ぼすというのは生物も何もかも全てを殺すことではないのか?』という疑問が手に取るように分かった。


「そうだな、言い方を変えよう。世界を再生―――いや、変革というべきか。

一度この腐った世界に終止符をつけて、新たに世界を作る」


「……変革……」


「あぁ。

今のこの世界を眺めてみろ。腐りに腐りきっているであろう?

権力者達は私利私欲に財産や兵等を使い生き延びる。それに反して平民達は権力者の気まぐれに振り回され、理由は多々あれど生命いのちを落とす。


犠牲の上に成り立つ、哀れな雑草たちの生き延びる世界だ。


魔物達も、決して平和ではない。小さな幸せすらも、小汚い低俗に潰されているのだ」


その言葉には、自然と重みがあった。

幾つものそれら・・・を見てきたような、悲しそうな瞳をする少女。


齢十六の少女が言う言葉にしては、現実味があり、それと同時に彼にも同意せざる得ない内容も含まれていた。


ライトリークが魔王の城に来るまでの間、幾重もの町や村、国を見てきたが、幸せそうに暮らしている裕福な土地はわずか一握りでしかない。


領主や国王よってその集落の裕福さが決まるほどだ。

権力者達が贅沢をするほど、それに嘆く民がいる。


『犠牲の上に成り立つ哀れな雑草』

それは驚くほどに、今の権力者達の大勢と重なっていた。





だんだん方向性が変わってきてしまったので、タイトルを変えようかと思います。

変えた後も、どうぞよろしくお願いいたします。

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