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ティアーズマジック  作者: 沙φ亜竜
第4話 「騙し騙され、ふりふられ?」 依頼人:エクレール 担当:ショコたん、マリオン
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-1-

「ふんふんふ~ん♪」


 われは鼻歌まじりにモニターに向かっていた。

 つい数分前までは、そんなことはなかったというのに。

 べつに不機嫌だったわけではないし、むしろ機嫌はよかったのだが、ここまで気分がよくなるとは、われ自身も思っていなかった。



 ☆☆☆☆☆



 ふ~む……。

 数分前、われ――ショコラレットは社長室にこもり、社員たちの書いた業務報告に目を通しながら、つぶやきを漏らしていた。


 新入社員のマリオン、なかなかやるではないか。

 先日の教会の件では、勝手な行動に出てしまったわけだが。

 もちろんそれも、プラス要素になっていると言っていいだろう。


 与えられた仕事をただこなすだけではなく、自分らしさを忘れずに行動する。

 それも大切なことだ。

 まぁ、場合によっては大失敗につながる危険性をはらんでいるわけだが。


 主婦さんやパー子があんなにも必死になって、マリオンを責めないようにと、われに訴えかけてくるとは。

 それだけ仲間の信頼も得ているということだな。

 いやはや、実に素晴らしい人材だ。われの目に狂いはなかった。


 もっともマリオンは、学校への求人広告で応募してきた生徒だったのだが。

 われはマリオンの面接には関わっていない。

 ただ、彼女の通っていた学校はわれの母校でもあった。校長とも知り合いだったことから、われは学校まで足を運び、離れて様子を見させてもらった。


 マリオンは、確かに少々おとなしい印象で、仲間内でもからかわれる傾向が見られるようではあった。

 だが、われは彼女の泣き顔を見てキュンと……いや、ピンと来たのだ。

 最初から採用することは、ほぼ決めていた。

 とはいえ、われの一存だけで決めてしまうわけにもいかない。というわけで、主婦さんに面接を任せたのだ。


 しかし、ここまで有望な人材だとまでは思ってもいなかったな。

 彼女の涙腺のゆるさは、この会社の仕事内容にピッタリと合っている。

 だが、それだけで続けていけるほど甘い仕事ではないのもまた事実。

 人によって方向性は様々だと思うが、内面的にキラリと光るものが必要なのだ。

 マリオンは見事、その部分でも合格点を得ることができたと言えるだろう。



 ☆☆☆☆☆



 そんなことを考えながら、われは仕事依頼のメールに目を通していた。


 ティアーズマジックはまだまだ規模の小さい会社ではあるが、町の人たちにもそれなりに知られるようになり、依頼のメールや電話も増える傾向にある。

 ともあれ、主に女の子が出向いて泣いてくれるという仕事内容からか、怪しい依頼なんかも多いのが実情だった。

 その辺りを見極めるのも、われの役目なのだが。


 メールは直接われのところに届くし、電話依頼に関しても、主婦さんが書類にまとめて届けてくれる。

 われは一日あたり数十件にも上るそれらすべてに目を通し、内容を見極め、各社員に仕事を割り振っていかなければならない。

 ふぅ……。社長という立場も楽じゃないな。


 主婦さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら、われは次々とメールをチェックしていた。


「……ほう」


 そのうちの一通に、われは目を留める。

 エクレールという名の女性からの依頼だった。

 そしてそのメールには、最近噂を聞いて依頼をしてきたとの前置きがあり、なんとマリオンにお願いしたいと書かれてあった。


「はっはっは、もう指名まで入るようになったか。いやはや、ゴールデンルーキーだな、マリオンは」


 思わず笑みもこぼれてしまうというものだ。


 とりあえず、今受けている仕事のこともある。調整は必要になってくるが、数日後にはこの依頼人のもとへ、マリオンを向かわせるとしようか。

 われはそう決めると、残りのメールや書類にも目を通していく。

 自然と鼻歌まじりになっていたわれの気持ちも、理解してもらえることだろう。


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