そして人はいなくなっちゃいました(其の十五)
これは聖魔光闇さん考案の、リレー小説です。
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だああ宿題できてねぇぇぇ!!
春休みとか宿題出すなよっ!
自分の横をすごい勢いで木々が動いていく。
俺は今、どこに居るんだろう。
もう大阪は抜けられたのか。それとも、まだ大阪府内なのだろうか。
勢いよく走るバイクとは裏腹にどこかぼんやりした気持ちで居ると
がくんとタイヤが何かに引っかかった。
「うわぁっ・・・!」
相当な速度を出していたせいで、俺の身体が宙に浮く。
足元の空がぐにゃりと曲がったかと思うと
今まで散々味わった閃光が自分を包む。
『くそ、またダメなのか・・・。』
俺は深い絶望と、これから来るだろう衝撃に身構えた。
「・・・あれ?」
だが、いつまでたっても俺には何も感じられない。
恐る恐る目を開けてみると、そこは先ほどまでと同じ山の中。
俺の両足はきちんと地面についていて、先ほどまでの浮遊感は一切無い。
『弾かれたせいで、バイクから吹っ飛んだことが無かったことになったのか?』
いまいち釈然としないながらも周りを見渡すが
ほとんど変わったところはない。
そう、ほとんど。
人が居る以外は。
「あ・・・あ!」
俺の前方100mあたりに、山菜を取りに来たような格好の老人が居る。
よかった、京都に入れたのか
「おーい!おーい!!」
耳が遠いのか、老人は一向にこちらを向かない。
でも良いのだ。ここにはガラスも何も無い、彼は幻影でもあちら側の人でもない!
嬉しさでスキップでもしたくなる気持ちを押しとどめながら
老人の元へ駆け寄り、声をかける。
「おい、あんた・・・え・・・?」
喜び勇んで彼の肩に置こうとした手は
まるで霞を掴もうとしたかのごとく、空しくすり抜けた。
「嘘だろ・・・おい!なぁ!!」
よく見れば彼の肩が、指が、足が、服の袖が、
まるでバグを起こしたグラフィックの様に歪んでいる。
遠目には確実に見えた彼は、あのガラスの中の人々と同じく
あちら側の世界が見せる、幻影だというのか・・・。
どうしようもない諦めの気持ちが、胸に広がっていく。
それを娘や妻の顔を思い浮かべることで食いとどめながら
俺はバイクまで戻っていった。が
「は?」
バイクに触れない。
それどころか、周りに乱立する木々すら触れない。
「おい、どういうことだよ!」
あせりで狂ったように手を振り回す俺に堅い幹が一本当たる。
『あ、全部触れないわけじゃないのか。』
その後、色々と調べた結果、ここら一体の木は3種類に分けられることが分かった。
半分ほどは確実に存在すると思われる木
4割ほどは、先ほどの老人と同じように所々歪みのある木
そして残りの木々は、俺が触れることのできる木。
『あぁ、なんてこった。』
突然のことに頭がついてゆかない、何が希望か分からない。
目からこぼれた雫は、傍にあった低木に触れることなく地面に染み込んでいった。
『俺は、家族ははどうなっちまうんだ。』
今俺がたっているのは、現実とゲームの狭間だ。
混乱している人々の居る、俺達の居た世界。
美未恵や消えた人々が居るであろう、ゲームの世界。
この二つの間が、俺が今居る世界。
『もしかしたら、沙羅はここに居るのかもしれない。』
微かに光る希望を頼りに、俺は歩いた。
『どれだけかかっても、必ず世界は元に戻してみせる!』
と、いうわけで16話担当鳩麦様
大変遅くなって申し訳ございませんでした。
聖魔光闇様、こんな駄文で申し訳ございません。