前へ目次 次へ 2/13 第1章 第1話:廃工場の証拠発見 ジン・ライチは廃工場の扉を押し開けた。錆びた鉄の匂いと埃の匂いが入り混じる空気が鼻を突く。 「……誰もいないか?」 足音を立てぬよう慎重に歩きながら、散乱した書類の山を確認する。 古びた机の下、破れたノート、そして誰かが落としたと思われる鍵。 心臓が少し早鐘を打つ。ここに来るまでに入手した情報と、目の前の光景が一致している。 「これが手がかり……か」 ジンは低く呟き、背中に背負った小型の銃を確認する。 闇の中、ネオ・ヴァルハラの未来を揺るがす事件の序章が、静かに始まろうとしていた。