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第4話 小さな魔法使いは,二つ名を得る


 ゼルネが口を開く。

 それは、エルフィーナのこれからを大きく左右する提案だった。


 「君の平穏な生活は、できる限り守るつもりだ。ただし……“王国にとって重要な任務”の際には、力を貸してほしい」

 「君の力をこのまま放っておくことはできない。とはいえ、君の“目立ちたくない”という気持ちも理解している」

 「だから――君を“特別魔法士団”の一員として、登録という形で迎えたい。活動は必要なときだけ。」


 そう言って、ゼルネは「どうだ?」という視線を向けてくる。


 エルフィーナは少し考えた。

 このまま断っても、きっとしばらくは王国の監視が続くだろう。

 それならば――ある程度妥協したほうが、静かな生活を維持できるかもしれない。


 「……わかりました」

 彼女は静かにうなずいた。

 「必要なときは、私でよければお力をお貸しします。ただ、どうやって連絡を取り合えばいいのでしょう?」


 この世界には長距離通信の手段がいくつかあるが、一般的なものは精度や距離に限界がある。


 そのとき、リーネが手首から外したブレスレットを差し出してきた。


 「これは魔法士団特製の連絡用アイテムよ」

 「内部に特殊な魔法回路が仕込まれていて、指定された“魔力の波長”を流せば、相手と繋がるの」


 エルフィーナはブレスレットを手に取り、まじまじと見つめた。

 こんな便利な魔道具があるなんて――と、純粋に感心してしまう。


 ゼルネとリーネの“波長”をそれぞれ教えてもらい、何かあればこのブレスレットを通じて連絡を取り合うことが決まった。


 その後、ゼルネは本部と通信を取り、エルフィーナとの協定について説明を行う。


 数時間後――。


 「エルフィーナ、魔法士団本部からの了承が下りた。これで正式に“特別魔法士団”の一員だ」

 「君の力を借りるときが来たら、ぜひよろしく頼む」


 そう言って、ゼルネはふっと笑い、言葉を続けた。


 「さて、魔法士団の一員となったからには――“二つ名”を授けなくてはな」


 エルフィーナが目をぱちくりさせていると、ゼルネは彼女をじっと見つめ、宣言した。


 「……今日から君の二つ名は――小さき大賢者ちいさきだいけんじゃ


 エルフィーナはその名を聞いて、なんとも言えない表情になった。


 (小さいのか、大きいのか……どっちなんですか)


 心の中でそっとツッコミを入れながら、彼女は溜め息をついたのだった。

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